今回は、中高年シニア世代の資格取得について解説します。このチャンネルをご覧の方々の中にも、お金の知識を身につけるには試験合格を目指して勉強するのが効果的だということをご存知ない方が意外と多いのではないでしょうか。
そこで今回は、おすすめしたい国家資格の取得と、退職後に独立開業するときに活用できる公的な支援制度について、公認会計士がわかりやすく解説いたします。ぜひ最後までご視聴ください。
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オススメしたい国家資格の取得

岸田先生、最近、50代の中高年シニア世代でファイナンシャル・プランナー資格が人気だそうです。私も50歳になり、お金のことを真剣に勉強するために、受験してみようかと思っています。



それはいいね。ファイナンシャル・プランニング技能士3級試験は、近年受験者が急増していて、2021年以降は毎年10万人を超える受験者がいるんだよ。



私は、最近まで家計の収支くらいしか興味がなかったのですが、同年代の友人らが、退職金、年金、相続などを話し合うのを何度も見るうちに、お金のことを真剣に勉強しなければと思ったんです。老後資金の管理や相続は、自分にも必ず降りかかる問題ですよね。ファイナンシャル・プランニング技能士3級を受験すればよいでしょうか?





そうだね。お金に関する資格には、ファイナンシャル・プランニング技能士、簿記検定、宅地建物取引士などがあるけれど、個人の老後の生き方を考えるのであれば、ファイナンシャル・プランニング技能士試験が最適だろうね。年金などの社会保険、金融資産や不動産の投資、生命保険、税金、相続など幅広い分野を学べるからだね。



そもそもファイナンシャル・プランニング技能士の資格は、金融機関に勤務する人が技能を向上させたり、ファイナンシャル・プランナーとして独立開業を目指したりする人のための資格ではなかったのでしょうか?



ここ数年、お金に関する知識をきちんと身につけようとして資格試験を受験する人がシニア層を中心に広がっているんだよ。自分の家計管理や資産運用に役立てることを主目的とするのであれば、3級だけでも十分だね。



資格を取得して稼ぐのではなく、自分の勉強のために受験するわけですね?



そうだね、ファイナンシャル・プランニング技能士P3級試験を受験する人の9割以上が自己啓発を目的にしているんだ。その中でも50代のシニア層が定年退職前後に学び始めるケースが多いんだよ。家計管理についてのリテラシーが不足していることに、日本人はもっと危機感を感じるべきだね。



受験勉強は、独学でも十分なのでしょうか。それとも、専門学校の受験対策講座を受講したほうがよいのでしょうか。



そうだね。専門学校の受験対策講座は、独学に比べコストがかかるけれど、無駄なく効率的に学習することができるので、忙しい会社員にはお勧めだね。



私は個別株に投資をしたいので、上場企業が開示する決算書を正しく読めるようになりたいです。ファイナンシャル・プランニング技能士でも勉強できますか?





個別株の投資判断のために決算書の情報を理解したい人は、会計知識に係る資格がいいね。最も人気があるのは日本商工会議所の「日商簿記」だろうね。企業の日々の取引から、決算日に作成する貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作る方法を学ぶ試験なんだ。3級であれば合格率は5割程度だね。
転職を目指す資格のご紹介



もし私が50代で転職や起業を目指すのであれば、どのような資格がよいでしょうか。「人生100年」とも言われますので、リスキリングに取り組んで長期のキャリア形成に向けて、自分のスキルを磨いていくにはどうすればよいでしょうか。





起業するならば、社会保険労務士や中小企業診断士がいいだろうね。社会保険労務士は中小企業と顧問契約を結んで、社会保険の書類作成や申請手続きを担う資格、中小企業診断士は経営コンサルタントの資格だね。ファイナンシャル・プランニング技能士の資格とこれらを持っていると強いね。



2つも資格試験を勉強するとなると、専門学校の費用の負担が重そうですね。



リスキリングを支援する「教育訓練給付制度」を活用すればいいね。雇用保険に一定期間加入しているなどの条件を満たせば利用できるよ。受験講座を修了した後にハローワークに申請するとお金をもらえるんだ。一般教育訓練給付は、幅広い資格が対象となっていて、受講費用の20%で上限10万円、特定一般教育訓練給付は、社会保険労務士や税理士など難しい資格が対象となっていて、受講費用の40%で上限20万円だね。



受講費用の40%というのは少ないようですね。



専門実践教育訓練給付になると、キャリアコンサルタントや専門職大学院などが最難関の資格が対象となっていて、受講費用の50%、年間上限40万円が最長4年にわたって支給されるんだ。しかも、資格取得後1年以内に就職すると、受講費用の70%で、上限56万円になっているよ。



私には十分な貯蓄がありません。開業のための費用はどのように準備すればよいでしょうか。





日本政策金融公庫の新規開業資金、女性・若者・シニア起業家支援関連の融資を活用することもできるよ。これは55歳以上も対象で、技術やノウハウに新規性が認められると特別低い金利が適用されんだ。あと、返済不要のお金としては、東京都中小企業振興公社が指定するインキュベーション施設の利用などを条件として、最大300万円をもらえる助成金の制度があるよ。



それはいいですね!中小企業診断士の資格取得にチャレンジしてみたいと思います!



ただ、資格を持つだけで開業できるわけではないよ。スキルを持っていても人脈がないと、顧客が見つからないからね。退職後に開業することを目指すのであれば、50代のうちに会社以外にも人脈を広げておくことが重要になるよ。
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