今回は、会社員の転職と独立について解説します。このチャンネルをご覧の方々の中にも、そろそろ50代になるけれど、会社員として定年退職まで働くことが本当に幸せなのかと悩んでいる人が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、退職後の健康保険と年金の観点から会社員の独立の注意点について、公認会計士がわかりやすく解説いたします。ぜひ最後までご視聴ください。


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中高年会社員独立の注意点

岸田先生、私も50を過ぎて、会社員生活も30年になろうとしています。定年まで会社員として働くべきでしょうか。それとも転職や独立も考えるべきでしょうか。



定年は会社都合退職ですが、転職や独立は自己都合退職となります。その場合、退職金が不利になることがあるので注意が必要ですね。



うちの会社には早期退職優遇制度があって、50歳以上で勤続10年以上の社員が定年前に退職すると割増退職金がもらえるんです。



それならば不利になることはなさそうですね。厚生労働省の調査によれば、大学卒の退職金の平均は、定年退職だと2千万円でしたが、早期優遇では2,300万円でした。しかし、50代前半は会社員人生で給料がピークになる時期ですから、一度きりの退職金を多めに受け取っても、退職する方が「得」だとは限りませんから注意が必要です。



今すぐ辞めようとは思っていないのですが、管理職のまま会社員人生を終わってしまうのはつまらないと思っています。お客様と対面する現場での営業の仕事でもう一度、勝負したい気持ちもあるんです。転職すれば、営業職に就くことも可能かもと思っています。1つの会社に勤め続けた会社員が、50代で退職するケースはどれくらいあるのでしょうか?





厚労省の調査では、従業員1000人以上の会社で、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者のうち、定年退職だったのは6割なんですよ。残る4割のうち3割は自己都合で退職していたそうです。



45歳を過ぎてから3割の会社員が自己都合で退職しているというのは驚きです。でも、中高年が転職して、給与水準は維持できるのでしょうか。



厚労省の調査によれば、50代の転職者でも、2割から3割の人が増加しています。それでも簡単に高収入の仕事を見つけることはできませんから、綿密に準備したのでしょうね。



転職だけでなく、会社に縛られずに独立するのも魅力的です。現場の営業で楽しくやるには、フリーランスとして様々な会社から仕事を受注できれば理想的です。しかし、フリーランスだと収入が不安定になるでしょうね。





収入だけでなく、社会保険料も会社員時代より負担が増えますよ。健康保険については、会社員は勤務先の健康保険に加入して、保険料は原則、会社が半分払います。扶養する家族は保険料負担なしで保険証を持つことができます。しかし、会社を辞めますと、退職後も最長2年は同じ健康保険を任意継続できますが、保険料は全額自己負担になります。任意継続が終わって国民健康保険に加入しますと、自分だけでなく扶養していた家族それぞれにも保険料負担が生じることになります。



健康保険料の負担が重くなるということですね。年金保険料はどうなるのでしょうか。



会社員は第2号被保険者として厚生年金に加入していて、年金保険料は健康保険料と同じく会社が半分払います。基礎年金に厚生年金が上乗せされて、将来の年金受給額も多くなります。





しかし、フリーランスになると第1号被保険者になって国民年金に加入し、年金保険料は全額自己負担となります。2023年度は毎月1万6520円です。会社を辞めた後の加入期間には厚生年金がなくなりますから、定年まで勤める場合よりも将来の年金受給額は減ることになりますね。





また、会社員の奥様が専業主婦ならば、国民年金の第3号被保険者で、年金保険料を支払わずに基礎年金を受給できます。ご主人が自営業に変わった場合には、奥様もご主人と同じく第1号被保険者になりますから、奥様の分の年金保険料を支払わなければいけません。



フリーランスは社会保障では不利なんですね。



おっしゃるとおり、社会保険の観点では、会社員であり続けることはとても有利です。しかし、人生の幸せを考えると、社会保険だけでは幸せになれるわけではありません。長年勤めた会社を辞めて独立しますと、収入は不安定になりますが、その一方で、定年に関係なく死ぬまで働くことができるようになります。退職前に社会保険労務士や中小企業診断士などの国家資格を取っておけば、収入がゼロになることはありません。



そうですよね。生涯やりたい仕事をするのは中高年の夢の一つです。
管理職のまま定年退職を迎えても、独立は難しそうです。ただ、いきなり独立は不安です。転職はどうでしょうか。





転職を考えるならば、自分の強みや弱みをよく知ることが大切ですね。これまでの仕事での成功体験や失敗体験を紙に書き出したり、奥様やご家族に評価してもらったりして、キャリアや強みの棚卸しをするとよいでしょう。



わかりました!将来の独立を視野に入れて、転職活動を始めたいと思います!まずはビズリーチへの登録ですかね?
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