今回は、相続空き家問題について解説します。このチャンネルをご覧の方々の中にも、実家を相続したけれど、遠方にあって手入れができない。売却したいけれど、どうしていいかわからない。そんな悩みを抱えた人が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、①空き家対策特別措置法、②相続空き家の問題点、③空き家処分の方法について、公認会計士がわかりやすく解説いたします。ぜひ最後までご視聴ください。


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空き家対策特別措置法

岸田先生、空き家対策特別措置法がスタートしたそうですが、これはどのような法律なのでしょうか。





空き家の発生を抑えて活用を促すことが目的の法律で、窓や壁の一部が壊れるなど管理状態が悪い空き家には、税金の優遇が無くなるようにすることで、早く処分させようととするものだね。



税金の優遇ってなんでしょうか?



住宅用地には、固定資産税を減額する特例があるんだ。最大で6分の1に減額するというものだね。しかし、倒壊する危険がある「特定空き家」と、その一歩手前の段階にある「管理不全空き家」については、固定資産税の特例が受けられないようになるんだね。



固定資産税ってどれくらいかかっているのでしょうか?



空き家であっても相続してしまうと、毎年、固定資産税や都市計画税がかかるんだよ。固定資産税は課税標準額の1.4%、都市計画税は課税標準額の0.3%だね。もともと親の自宅であれば、住宅用地として固定資産税が最大で6分の1、都市計画税が最大で3分の1まで特例で減額されているんだよ。それが相続されて「特定空き家」に該当すると、住宅用地の特例を受けられなくなってしまって、固定資産税が最大6倍になるということだね。



税金が高くなるのであれば、早めに建物を解体するか、売却したほうがいいですよね。放っておくと、放火される危険もありますし、外からゴミが放り込まれてゴミ屋敷になることもありますからね。



居住目的のない空き家数は、2018年時点で全国に350万戸もあるんだよ。このまま行けば、2030年には470万戸に膨らむ見通しなんだ。



私の親戚も、実家を相続したけれど、空き家になってしまい、遠方にあって手入れができない、売却したいけれど、どうしていいかわからないと悩んでいました。そんな悩みを抱えた人は、意外と多いかもしれませんね。長期間空き家として放置されると、どうなりますか?



それが大変なことになるんだよ。草木に覆われて、鳥が巣をつくって、壁の一部が崩れてボロボロになるんだ。あと、家の中に放置された棚やテーブル、テレビといった大型の家財道具が粗大ゴミとなるから、その処分が問題となるね。



それにもかかわらず、空き家が増え続けているのはなぜでしょうか?タダでもいいから売却してしまったほうがいいのではないですか?





国土交通省の調査によれば、所有者が空き家にしておく理由として最も多かったのは「物置として必要」という回答で60%を占めていたんだ。特に、亡くなった親の家財を捨てられず、その置き場として持っておくケースがあるようだね。



そうやって最初は持ち続けようと思っても、たいていは結局使い道が見つからなくなって、処分に困るようになるんでしょうね。



最近は、空き家の売却と家財の処分をセットにしている不動産屋さんが増えているので、思い切ってまとめて捨てる決断をするのがいいのかもしれないね。



それでも、地方の田舎であれば、人口も減少して過疎化が進んでいますから、買主を見つけるのが難しいのではないでしょうか。



空き家処分の経験がないことから「処分に手間がかかる」「どうせ売れない」といった思い込みやあきらめもあるでしょう。しかし、最近は、地方自治体の空き家バンク、メルカリのように個人間の売買のマッチングサイトもあるから、試してみることがいいだろうね。



そもそも空き家になった実家を相続しないようにする方法はありませんか?



どうしても実家を相続したくないのであれば、相続放棄することが考えられるね。しかし、相続放棄をしてしまうと、預貯金など他の資産も含めてすべての相続財産を放棄することになるから、それでもいいかどうか判断する必要があるね。



相続人の全員が相続放棄するとどうなりますか?



その場合、国庫に引き継がれることになるよ。相続財産管理人が選任されて清算するんだ。ただし、相続財産管理人が選任されるまでは、相続人が空き家を管理しなければいけないんだけどね。



実際には、とりあえず実家を相続しようとする方が多いと思います。
相続した後はどうなりますか?





理想的な方法としては、実家をリフォームして他人に賃貸すれば、家賃収入を得ることができていいよね。誰かに住んでもらえば、家屋の劣化のスピードを緩めることもできるから。しかし、貸主になるということは、設備などの故障に対処しなければならないし、必要な修繕も行わなければならないということだ。管理を管理会社に依頼しても費用がかかるよね。借主が見つかればいいけど、地方の田舎では、借主を見つけることは難しいだろうね。何よりも、一度賃貸に出してしまうと、その後、売却することが難しくなるよ。居住用の物件として売ることができず、投資用不動産の売買になってしまうから。通常は、居住用の物件の2割くらい値下がりすることになるよ。



そうなると、空き家として持ち続けるしかありませんよね。それでも、空き家対策特別措置法の「特定空き家」に指定されると、固定資産税が6倍になります。どうすればいいのでしょうか。



「特定空き家」に該当してしまうと、行政指導が入るおそれもあるし、近隣住民とのトラブルが発生するおそれがあって面倒なんだ。そんな問題を考えると、空き家を解体したほうがいいだろうね。しかし、解体費用は1坪あたり4~6万円くらいかかるんだ。20坪だと解体費用は100万円くらいだね。



そんなにかかるのですか。それでは、空き家を他人に無償で譲ったほうがいいですね。自治体が引き取ってくれないですか?



自治体に寄付する方法もあるね。ただ、寄付すると言っても必ず自治体が受け取ってもらえるわけではないよ。利用価値のない空き家は自治体が拒否するだろうね。



なるほど!相続する予定の実家をどうするか、早めに考えておく必要がありますね!
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