今回は、相続税申告の必要書類について解説します。このチャンネルをご覧の方々の中にも、葬儀が終わった後、相続税申告の準備を始めたいけれど、何から手を付けたらよいのかわからないとおっしゃる方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、相続税申告の必要書類について、身分関係、不動産関係、預貯金・証券口座関係、非上場株式関係、債務・葬儀関係、保険関係、その他の書類に分けて、公認会計士がわかりやすく解説いたします。ぜひ最後までご視聴ください。
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相続税申告に必要な書類とは

岸田先生、私の母が他界し、先日、四十九日の法要が終わりました。相続税申告が必要だと思うのですが、どのような書類を集めたらよいのでしょうか。



相続税申告の必要書類は、身分関係、不動産関係、預貯金・証券口座関係、生命保険関係、債務・葬式費用、その他の書類の6種類に大別されるんだ。順番に説明しようか。



そんなにたくさんあるんですね。
身分関係必要書類





何よりも重要なものは身分関係の書類だ。これらは、相続人を確定するために絶対必要で、相続税申告が必要ない場合であっても、遺産分割を行うために必ず入手しなければいけないものなんだ。順番に説明しよう。何よりも先に取得すべきものは、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本と附票、住民票の除票だね。言うまでもないけれど、市区町村役場で取得することができる。





これを入手すれば、相続人が誰なのか確定するから、相続人全員の戸籍謄本と附票、住民票を取得するんだ。これらが揃ったら、法務局で「法定相続情報一覧図」を作成してもらえばいい。「法定相続情報一覧図」があれば相続税申告以外の手続きで被相続人の戸籍謄本を提出する必要が無くなるよ。



相続が発生する前に「法定相続情報一覧図」を作っておけばよかったですね。



それはダメなんだ。身分関係の書類は相続開始日10日以降のものでなければ使えないんだよ。



そうなんですね。



あと、実印を押す遺産分割協議書に添付しなければいけないので、相続人全員の印鑑証明書が必要になるね。



印鑑証明書は代理人に取得してもらうことができませんから、自分で市区町村役場に行くか、コンビニの機械を使って取得する必要がありますね。
不動産関係必要書類



不動産関係で必要なものは、登記簿謄本と公図、もしあれば地積測量図だね。これらは法務局で取得するんだけど、相続登記を依頼する司法書士に依頼すれば取ってくれるよ。



相続登記でも必要になりますね。





それから、固定資産税評価証明書と名寄帳だね。市区町村役場や都税事務所で取得することができるね。固定資産税評価証明書の記載内容は、自宅に送られてきている固定資産税納税通知書兼課税明細書と同じだから、先に概算で相続税の計算してみるときは、固定資産税納税通知書兼課税明細書を税理士に渡して計算しれもらえばいいよ。いよ。



自宅だけでなく賃貸用のアパートも持っている場合は何か追加で必要になりますか?



その場合は、入居者との賃貸借契約書が必要となるね。賃貸していると借家権と借地権に相当する評価額を相続財産から減額することができるから、忘れないようにしないといけないね。
預貯金・証券口座 必要書類



銀行の預金口座と証券会社の証券口座もありました。





預貯金・証券口座関係で必要なものは、銀行預金の残高証明書だね。ゆうちょ銀行であれば貯金になるけどね。定期預金があれば、既経過利息の計算もお願いしておくんだ。その発行を依頼するときには、間違えて依頼日の残高で証明してもらうのではなく、相続開始日の残高で証明してもらうようにしないといけないよ。



死亡する直前に銀行から引き出しておいた現金が手元に残っている場合はどうなりますか?



それは手許現金として申告するから、税理士にその金額を伝えるとともに、銀行預金通帳を渡せばいいよ。直前引出しした現金や相続開始前7年間の贈与は、相続財産に加算しなければいけないので、過去7年分の預金通帳を税理士に確認してもらわなければいけない。



預金通帳を紛失してしまった場合はどうしましょうか?



その場合、手数料は取られてしまうけれど、銀行に取引明細書の発行を依頼するしかないね。



証券口座についてはどのような書類が必要でしょうか。



証券会社も同様に残高証明書を発行してもらうんだ。配当金の通知書が届いていれば、未収配当金を相続財産に計上するために、それも必要になるね。
生命保険関係必要書類



生命保険契約にはどのような書類が必要でしょうか。





死亡保険に関しては手元にある保険証書と、それに基づいて請求した死亡保険金の支払通知書だね。医療保険にも加入していたら、入院給付金の支払通知書も必要だね。
債務・葬儀費用 必要書類



債務・葬式費用にはどのような書類が必要でしょうか。



金融機関からの借入金があれば、その残高証明書が必要になるね。未払いの費用については、税金や保険料については納付書、水道光熱費については請求書や領収書だね。あと、医療費や介護費用の金額が大きいと思うので、相続開始後に受け取った請求書や領収書も必要になるよ。



葬儀についてはどうでしょうか。





葬儀の費用は、葬式費用、火葬費用とお布施、納骨費用を申告することになるから、これらの請求書や領収書が必要だね。



お坊さんへ支払ったお布施の領収書はもらっていないのですが、どうしましょうか。



お布施については領収書が無くても構わない。税理士に金額を伝えるだけでいいよ。
その他の必要書類



これ以外に何が必要となりますでしょうか。



生前贈与は無かったかな?



はい、相続人の私たちは何も贈与してもらっていません。





今回のご相続では関係ないので、詳しくは話さないけれど、生前贈与がある場合、贈与財産を相続財産に加算することがあるので、贈与契約書や贈与税申告書になるね。あと、会社経営者であれば非上場株式の評価に必要な資料、個人事業主や賃貸不動産オーナーであれば、準確定申告に必要な資料だね。それから、細かい相続財産として、自動車、ゴルフ会員権、リゾート会員権、老人ホームに係るお金、貴金属や絵画・骨董品などを評価するための資料も必要だ。あと、相続税申告の特例や控除に必要となるものとして、相続人の障害者手帳、相続人が賃貸物件に住んでいた場合には過去3年分の賃貸契約書、過去10年以内の相続税申告書、家族名義になっている財産に係る資料だね。
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