​​相続時精算課税は相続税の前払い。その仕組みをしっかり理解して有利な手続きをしましょう。

先生

個人財産を親から子どもへ贈与するときの贈与税には、暦年課税と相続時精算課税という2つの贈与税の制度があります。一定の条件がありますが、どちらかを選択して利用します。今回は、「相続時精算課税制度」による贈与税について説明します。

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相続時精算課税制度による贈与とは? 

生徒

母が、自宅の建物を私に生前贈与したいけれど、贈与税はどれくらいかかるか調べてくれと言ってます。先生、贈与税がいくらかかるのか、教えていただけませんか?

先生

自宅を贈与してもらえるのかい?それはいいね。建物だけでいいのかな?それでは建物の評価額を確かめる必要があるんだけれど、固定資産税課税明細書は確認したかな?

生徒

はい、確認しました。家屋の「価格」のところに、2500万円だと書いてありました。

先生

それならば、ご自宅の建物の評価額は2500万円だから、それに対して贈与税がかかるんだよ。贈与税には2つの制度があって、暦年課税と相続時精算課税だ。暦年課税でもいいけれど、1000万円以上の税金がかかるから、ちょっと現実的ではないね。今回は、相続時精算課税を使うほうがいいと思うよ。

生徒

相続時精算課税とは何ですか?

先生

相続時精算課税とは、60歳以上のお父様・お母様や、お祖父様・お祖母様から、18歳以上の子どもまたはお孫さんへ、贈与したときに、2,500万円を超える部分について、20%の相続税を前払いする制度なんだ。形式的には「贈与税」と呼ばれているけれど、実際は相続税の前払いだね。ただし、2024年の税制改正で毎年110万円の基礎控除額が導入されたから、毎年贈与を続けるとたくさんの非課税枠が使えて有利な制度になったんだよ。

生徒

相続税を前払いするって、具体的にどうやって計算するのですか?贈与した人が亡くなってたときに相続税を支払いますよね?

先生

するどい質問だね。相続時精算課税を利用して贈与された財産は、相続した財産にプラスされて、相続税が課されるんだよ。ただし、プラスされるときの贈与財産の金額は、相続のときの評価額ではなく、贈与されたときの評価額なんだ。贈与した後に値上がりするような財産だと、早めに贈与しておくほうが有利だね。

生徒

贈与税として前払いした税金は、どうなるんですか?

先生

相続時精算課税と呼ぶくらいだから、きちんと精算されるんだ。すでに支払った贈与税は、相続税から差し引かれるから心配ないよ。

生徒

なるほど!相続時精算課税を選ぶときに、どのような手続きが必要となりますか?

先生

これは贈与税の制度だから、贈与税の申告が必要なんだ。申告書の提出は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間となっているから、忘れないようにしようね。

相続時精算課税制度のメリット

生徒

相続時精算課税で贈与することのメリットを教えて下さい。

先生

一番大きなメリットは、「納税が先送りされる」ということかな。2,500万円までは、贈与税で前払いする必要が無いから、それに対する贈与税の資金が将来の相続時まで先送りされるのは助かるはずだよ。もう一つは、2024年から導入された基礎控除かな。毎年110万円の基礎控除を非課税枠として使えるから、その分だけ節税になるよ。

生徒

その110万円は、将来の相続税の申告のときには課税されるのですか?

先生

いや、これは贈与財産から110万円ずつ控除されていって、相続税申告のときも相続財産に加算するひつようが無いんだ。つまり相続税の非課税枠となるよ。

生徒

なぜ生前に贈与しておいたら、節税になるのでしょうか?

先生

それはね、個人財産が増えてしまうことがあるからなんだ。例えば、賃貸不動産や金融資産かな。持っていると家賃や配当金でお金が増えていくよね。それはいいんだけれど、本人がお金を使う予定が無ければ、将来の相続財産となって相続税を支払うことになる。だから、生前の早めに贈与しておくほうがいいんだよ。

生徒

なるほど、お金を生み出してくれる資産のことですね。みたいなイメージでしょうか。

生徒

わかりました。他にもまだありますか?

先生

そうだね、子どもの生活が豊かになるということもメリットかもしれないね。子どもやお孫さんなどが住宅を購入するときや、何か事業を始めるためにたくさんの資金を必要としているときなどに、2500万円までは贈与税を気にせずに贈与できると助かるよね。

相続時精算課税制度のデメリット

生徒

相続時精算課税での贈与にデメリットはありますか?

先生

デメリットは無いけれど、自宅の敷地を贈与するときには注意点があるよ。それは、土地の贈与で相続時精算課税制度を適用してしまうと、相続したとき、相続税を8割安くしてくれる小規模宅地等の特例を使うことができなくなってしまうことなんだ。今回は、建物を贈与して、お母様もそこに住み続けるということでいいんだよね。

生徒

はい、土地は贈与されません。

先生

それならば、大丈夫だね。

生徒

わかりました!ありがとうございました!

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