【相続】相続時に残高証明書の取得する理由と預貯金の仮払い制度とは?
相続が発生したとき、金融機関から残高証明書を入手することが必要となります。また、遺産分割が確定する前に、預貯金の一部を払い戻すことができる仮払い制度を活用することができます。今回は、残高証明書を取得すべき理由と預貯金の仮払い制度について解説いたします。
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相続手続きにおいて銀行の残高証明書はなぜ必要なのか?
先生、私の母が先日他界しました。今から私が相続手続きをやるつもりで、色々と調べています。一つ質問させてください。銀行預金や郵便貯金を相続しようとするときに、先に残高証明書を取得しておくべきだと聞いたんです。これはなぜですか?母の手元にあった通帳を見れば、残高はわかりますよね?
確かにそうですね、通帳をすべて保管してあったのであれば、それでいいかもしれないよね。しかし、通帳を失くしている可能性もあるだろう。だから、亡くなった方の全財産を漏れなく把握するためには、一度、銀行残高証明書を取得したほうがいいんだよ。相続人の方々が知らない口座が隠されていることもあるかもしれない。それに、預貯金以外にも、借入金といった通帳だけでは把握しきれないものがあるかもしれないからね。
そうだね、残高証明書とは、取引されていた口座の各残高を書面で証明するものなんだ。すべて記載されているんだよ。
金融機関の残高証明書の取得方法とは?
各金融機関で多少違うかもしれないけれど、亡くなった方の戸籍謄本または除籍謄本、相続人の戸籍謄本、申請する方の本人確認書類、実印と印鑑登録証明書などだね。発行手数料がかかるけれど、金融機関によって金額がさまざまだね。
わかりました。普通預金だけでなく、定期預金の残高もわかりますか?
定期預金の残高も記載されているよ。ただし、定期預金には注意点があるんだ。通常は、既経過利息の金額が記載されていないから、それを記入してもらうように依頼することだね。金融機関によっては、残高証明書とは別に「既経過利息計算書」というものを発行してくることもあるね。
相続財産としての既経過利息の計算
既経過利息というのは、預金を相続開始日で解約したときに支払われる利息のことだね。残高証明書に記載してもらう残高の日付は、相続開始日であって、残高証明書の申請日ではないので、注意が必要だね。よくある間違いだ。
なるほど、既経過利息というのは、未収になっている利子所得のことですね。
おや、所得税のことをよくわかっているね。ただし、預金利息を受け取るときには、20.315%の税率を乗じて算出した所得税と住民税が源泉徴収されるから、源泉徴収額を控除した金額が、相続財産ということになるね。
相続時に銀行口座の所在をどのように探すのか?
預貯金を相続するのに、残高証明書が必要なことはわかりました。もし、通帳を失くしていた場合はどうなりますか?どこに金融機関に口座を持っているかわからないときは、どうすればいいのですか?
亡くなった方が遺言書を書いていれば、どこの金融機関と取引していたかすべてわかるけれど、遺言書がない場合には、相続人が自分で調べなければいけないね。
まずは、家の中を洗いざらい探し回って、通帳やキャッシュカード、利用明細書が隠されていないか探すことだね。金融機関の社名が書かれたカレンダーや、広告宣伝の郵便物が残されていたら、その金融機関に口座が存在している可能性があると考えるべきだね。
うわーっ、それはたいへんですね。家中ひっくり返して、手がかりを探さないといけないんですね。インターネット専用銀行の場合は、どうすればいいのですか?
ネット銀行の場合、電子メールやスマートフォンの銀行アプリを確認するか、郵便物を確認するしかないね。
相続が発生したら預金口座は凍結されるのは本当なのか?
そういえば、相続が発生したことを金融機関に伝えると、そこの預貯金は凍結されて引出不能になるって聞いたことがあるんですけど本当ですか?
その通りだ。金融機関に、お母様が亡くなったことを知らせると、お母様の口座は凍結されることになるね。そうなると、出金だけでなく入金も含め、取引が一切できなくなる。
それは、預貯金を相続財産として保全するためだね。預貯金は相続人全員で遺産分割しなければいけないので、遺産分割が確定するまで、相続人のうち誰のものになるか決まっていない状態にあるからだね。
なるほど、遺産分割が確定すれば、自動的に名義変更されるんですか?
名義変更の手続きは必要となるけれど、きちんと手続きが完了すれば、相続人の名義の口座になるよ。もうその口座で取引するつもりがないのであれば、解約して払い戻しすればいい。
そうなんですね。でも、葬儀や火葬の費用、未払いの医療費の支払いなど、たくさんお金が必要となっています。何とかお金を引き出す方法は無いでしょうか?
遺産分割協議がまとまらない場合の「預貯金の払い戻し制度」
実は、一部のお金だけは先に引き出すことができるんだ。これは「預貯金の払戻し制度」といって、法定相続人であれば、単独で払い出しすることができるんだ。ただし、預貯金残高の3分の1に法定相続分をかけた金額が引き出しできる上限となるんだ。それでも1つの金融機関から引き出せるのは最大150万円までだけどね。
それは助かりますね。母親の場合、三菱UFJ銀行の普通預金残高が1,200万円ありました。この場合、私が単独で引き出しできる金額はいくらですか?ちなみに、私の法定相続分は2分の1です。
1,200万円の残高に3分の1をかけると400万円だよね。それに君の法定相続分2分の1をかけると200万円になる。ただし、1つの金融機関から引き出せるのは最大150万円だから、この場合の引き出し可能な金額は150万円になるね。
その場合、三菱UFJ銀行へ提出すべき必要書類は何でしょうか?
お母様の出生から死亡まで連続した戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、君の実印と印鑑証明書だね。
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