【相続】遺言書と遺留分、その時効と効果、遺留分が侵害された場合の請求方法を解説

先生

遺言書を書いておけば、遺産分割協議を行うことなく、自由に遺産の分け方を決めることができます。しかし、それによって、遺産が全くもらえなくなってしまうような相続人が出てきてしまうと、かわいそうです。そこで、民法では、遺留分の制度を設けています。これによって、一定の相続人に最低限の遺産を受け取る権利が保証されているのです。今回は、遺留分とは何か、その時効、遺留分が侵害されたときにお金を請求する手続きなどを解説していきます。

目次

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遺留分とは?

生徒

先生、先日母が他界したのですが、出てきた公正証書遺言を開いてみてびっくりしました!

先生

遺言書にはどのように書いてあったのかな?

生徒

それが、自宅など遺産のほとんど全てを弟に取得させると。私や妹には、残高100万円の郵便貯金を分けろとなっています。こんなの不公平です。

先生

ご自宅は都内の一軒家だよね?それならば、遺留分を侵害している可能性が高いね。

生徒

遺留分とは何ですか?

先生

遺留分とは、一定の相続人に認められた最低限の遺産の取り分のことだよ。法定相続人のうち、配偶者、子ども、親だけに認められている取り分なんだ。

生徒

遺留分を侵害された私と妹は、どうすればいいのでしょうか?

先生

君たちは、遺留分を侵害されたと訴えることができるんだよ。侵害された分をお金で返せと弟さんに訴えることになるね。これを遺留分侵害額請求というんだ。

遺留分の計算方法は?

生徒

遺留分の大きさは、どうやって計算するのですか?

先生

相続人が子どもだけの場合は、遺産の2分の1が全体の遺留分になるね。子ども3人だから6分の1となるよ。

生徒

全体の遺留分である2分の1を、全ての相続人で分けるという計算ですか?

先生

そうだね、相続人が複数いるときは、全体の遺留分2分の1に法定相続分をかけて計算するんだよ。2分の1に3分の1をかけると6分の1になるよね。

生徒

子どもたちは均等に分けるんですね。わかりました。私は、遺産のうち6分の1は最低限もらえる権利があるということですね。遺産の金額はどのように計算すればよいのでしょうか?いま遺されている財産をすべて集計すればいいのですか?

先生

単純に考えるとそうなんだけど、遺留分を算定するときの基礎となる財産は、相続発生時の財産だけではなく、亡くなる前10年間に贈与された財産も加算されるんだ。遺留分を侵害する目的で贈与された財産であれば、10年間ではなく期間制限なく贈与された財産が加算されるよ。

遺留分侵害額請求の手続き

生徒

では、具体的にどのように手続きを行えばよいでしょうか?

先生

最初に、遺言で多く遺産をもらえることになった相手に、遺留分の侵害に相当するお金の支払いを請求することからスタートするんだ。この請求は、相続発生後1年以内に行わなければいけない。

生徒

1年を過ぎてしまったら、どうなるんですか?

先生

時効で請求できなくなるね。

生徒

自分の遺留分が侵害されていたときには、必ず請求をしなければいけないものなのですか?

先生

いいえ、請求をするかしないかは、その人の自由です。お金が欲しくなければ、請求する必要はないよ。

生徒

遺留分侵害額を請求するときは、裁判になるのですか?

先生

いやいや、そんな大げさな話ではないよ。最初は相手に遺留分侵害額に相当するお金を支払えと内容証明郵便を送るだけでいいんだよ。

生徒

内容証明郵便って何ですか?

先生

いつ、どんな内容の文書が、誰から誰にあてて出されたのかを、日本郵便が証明する郵便物のことだね。相手に送った1通のほかに、自分の手元と郵便局に各1通ずつコピーが保管されるんだ。請求した内容も、日付も、これを証拠として残すことができるね。

生徒

内容証明郵便を送っても、もし相手が応じてくれなかったら、どうすればいいですか?

先生

その場合は、家庭裁判所に申立てを行い、調停か審判で解決するしかないね。

生徒

わかりました。ありがとうございました。

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