【相続】戸籍謄本の種類、記載内容、入手できる場所や費用を徹底解説
銀行預金の解約や不動産の相続登記など、ほとんどの相続手続きでは、戸籍謄本の提出が求められます。今回は、必要となる戸籍謄本の種類、記載内容、入手する場所や費用を確認します。特に、相続人の戸籍謄本と、被相続人の戸籍謄本では、取得時の注意点が異なりますので、その注意点を説明いたします。
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相続手続きで使用する戸籍謄本とは?その種類と記載内容
先生、先日、私の母が他界しました。今から私が相続手続きを行わなければいけないのですが、戸籍謄本を提出することが必要なものばかりです。戸籍謄本はどうやって取得するのでしょうか?
戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場でしか取ることができません。本籍地の市区町村役場が遠い場合には、郵送で請求することができます。コンビニ交付に対応しているところもあり、その場合は、セブンイレブンやローソンなどのコンビニの機械から取得することができますね。
それならば、実家がある町の役場に行けばよいということですね。
いや、それだけでは済まないかもしれないよ。亡くなった方の戸籍謄本は、出生から死亡まで揃えなければいけないんだ。
被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本が必要
えーっ!そうなんですか!なぜ出生から死亡までの必要なのですか?
それは、亡くなった人の相続人を調査して、相続人を確定するためなんだ。生まれてから亡くなるまでの間、いつ身分に変動があったか、出生から死亡までのすべての連続した戸籍謄本を集めて調査しないと証明できないからなんだよね。結婚したり、離婚したりすると戸籍は変動するし、養子縁組しても変動するよね。これらをすべて連続させて、死亡から出生まで遡っていくんだよ。ご遺族が、たとえ「相続人は私たちしかいない」と思っていても、戸籍を調べていると、会ったこともない人が養子に入っていたことがあるなど、想定外の法定相続人が見つかることもあるんだね。それゆえ、亡くなった方の戸籍は、出生時の戸籍謄本までさかのぼって取得する必要があるんだ。
それはたいへんですね!私の母は、確か養子に入っていたような気がします。どうやって出生まで戸籍謄本を集めるのでしょうか?
お母様の死亡時の戸籍謄本から、その前、さらにその前と一つ一つさかのぼって、改製原戸籍謄本、除籍謄本を取り寄せる必要があるね。
それは戸籍謄本を読めば、その前の戸籍がどこなのか、簡単にわかるものなのですか?
まず被相続人の最後の戸籍謄本または除籍謄本をとる。それは、簡単だよね。そこに記載されている内容を読んで、その前の改製原戸籍謄本、除籍謄本の本籍地などを読み解いて、一つずつ順番に古い戸籍に遡って、本籍地の市区町村役場に請求していくんだ。そこから順次遡っていき、古い戸籍にさかのぼっていき、出生まですべての戸籍を揃えるという作業が必要となるんだ。お母様の場合だと、お父様とご結婚する前は独身だったはずだから、最初はその時期の戸籍に遡ることになるね。
被相続人の除籍謄本と改製原戸籍とは何か
なるほど、たいへんそうですね。私が、インターネットで戸籍について調べてみますと、戸籍謄本とか戸籍抄本、除籍謄本とか改製原戸籍など、難しい単語がたくさん出てきます。これらの意味がわかりません。除籍謄本とは何でしょうか?
亡くなった人の戸籍謄本は、配偶者や親族が同じ戸籍にいなければ、「除籍謄本」と呼ばれます。つまり、除籍謄本とは、記載されている人がすべて抜け出して誰もいなくなってしまい、閉鎖された戸籍の写しのことだね。
「かいせいげんこせき」と読むこともあるけど、「かいせいはらこせき」と読まれることが多いね。戸籍は、コンピューター化する前は、紙で保存されていたんだ。この紙の記録が「改製原戸籍」と呼ばれているんだ。また、戸籍法の改正で、記録が新しい様式に書き換えられると、書き換え前の戸籍のことを、改製原戸籍と言うんだね。
被相続人の戸籍抄本と戸籍全部事項証明とは何か
戸籍抄本とは、戸籍に記載されている方のうち一人の身分事項を証明するものだね。戸籍謄本と戸籍抄本で証明される身分事項に違いはないよ。
戸籍全部事項証明とは戸籍謄本のことだよ。名称が変わっただけだね。また、戸籍個人事項証明は戸籍抄本のことだね。
私たち相続人も戸籍謄本は出生までさかのぼらなければならないのでしょうか?
相続人の戸籍謄本は、相続人が健在であることを示すためのものなので、出生まで遡る必要はないよ。現在の戸籍謄本があれば、それでいいんだ。戸籍謄本でなく、戸籍抄本でもいいよ。
戸籍謄本の取得に必要な書類とかかる費用
市区町村役場で戸籍謄本を取るときに、必要となる書類は何でしょうか?
必要となるものは、「戸籍交付申請書」、運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなどの本人確認書類、そして印鑑だね。印鑑は認印でいいよ。
たくさん戸籍謄本を取得しなければいけないとなると、かなり費用がかかるのではないですか?
もちろん、戸籍謄本の取得には費用がかかるよ。発行料金は、一般的に戸籍謄本が1通450円、除籍謄本が1通750円だね。改正原戸籍は1通750円。ちなみに、相続手続きには、住民票の除票や印鑑登録証明書、固定資産税証明書も必要となるけど、それはいずれも1通300円だね。
市区町村役場で手続きする前に、戸籍謄本の提出先が何カ所になるか、事前に確認しておいて、必要部数を数えておく必要があるね。金融機関、法務局、税務署など、複数の提出先があるから、少し余裕を持って取得しておいたほうがいいだろうね。
市区町村役場へ戸籍謄本を郵送で取り寄せることはできるか
遠方の市区町村役場に戸籍謄本などを郵送で申請する場合、どうやって申請するのでしょうか?
郵送で戸籍謄本を取り寄せるときは、「戸籍交付申請書」に、本籍地、戸籍筆頭者、亡くなった人の氏名を正確に書くんだよ。使いみちには「相続手続き」だね。備考欄など具体的に説明できる場合には、「被相続人の出生から死亡までの戸籍が必要だ」と記載すればいいね。
郵送で申請する場合、手数料など費用はどのように支払いますか?
郵送の場合、手数料は「定額小為替」を郵便局の窓口で買って、指定受取人などの記載欄には何も書かず、払渡票は切り取らずに、郵便局から受け取ったままの状態で送るんだ。それに加えて、切手を貼り、返信先を記入した返信用封筒も同封する必要があるんだ。
なるほど、市区町村役場まで訪問する時間も無いですから、郵送のほうがよさそうですね。
戸籍謄本の代わりになる法定相続情報一覧図
相続手続きを行うとき、金融機関や税務署や法務局など、戸籍謄本を提出する公的機関がたくさんあるけれど、法務局の法定相続情報証明をもらうと便利なんだよ。これは知っているかな?
いえ、知りません。法定相続情報証明について教えていただけますか?
相続人が戸籍謄本を集めて、「法定相続情報の一覧図」を作成し、それに被相続人の住民票の除票、相続人の現在の戸籍謄本を一緒に法務局に提出すると、法務局が無料で認証印を付けてくれるんだ。この法定相続情報一覧図を法務局で作ってしまえば、無料で必要な枚数を取得できるので、同時並行して相続手続きを行うことができるようになるよ。
なるほど!それは便利ですね。私も法定相続情報一覧図を作るようにします。ありがとうございました。
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