相続で事業承継、個人事業を承継する際の青色申告承認申請書や開業届等の手続き方法を解説
相続の際には、亡くなった方が行っていた事業を相続する人がひき継ぐことがあります。その際、青色申告制度を利用するには、青色申告承認申請書の届出が必要になります。届出期限は、亡くなった日や、亡くなった方が青色申告制度を利用していたかどうかで異なります。今回は、青色申告承認申請書について解説します。
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事業承継のための青色申告承認申請書とは
亡くなった親が自営業をしていて後を継いだとき、確定申告はいままで通りのやり方でいいのでしょうか?
青色申告とは、毎日の取引を会計帳簿に記帳し、それに基づいて申告を行うことで、税金が安くなる取扱いが受けられる制度をいいます。
事業を引き継いだ人が青色申告を行うためは、税務署への届け出が必要なんです。
はい。事業を相続しても、青色申告の承認まではひき継がれないんです。事業を引き継ぐ人が、新たに青色申告承認の申請をしなければなりません。
そうなんですね。ちなみにどんな人が青色申告できるんですか?
事業所得がある人に加えて、不動産所得がある人ですね。
先生、もともと別の事業をやっていた人が相続をして、親の事業を引き継いだ場合はどうなりますか?
相続を行う前にもともと事業を行っていて、自分の事業ですでに青色申告を行っていた場合には、青色申告承認申請書の提出は不要です。
なるほど。確定申告のシーズン前に早めに申請しておかないといけませんね。
準確定申告における青色申告申請書
先生、相続のときには準確定申告を行いますよね。これは確定申告とはちがうものなんですか?
お亡くなりなった方に代わって相続した人が確定申告をすることを準確定申告と言います。準確定申告は相続した日の翌日から4か月以内に申告と納税の両方を行わなければいけません。
4ヵ月以内ですか?けっこう忙しいスケジュールですね。相続した人がお亡くなりになった方の事業を引き継ぐ場合、青色申告を行いたい場合、準確定申告のときにその承認申請をすればいいんですね?
そうとも限りません。お亡くなりになった時期によっては、準確定申告の期限よりも先に青色申告の承認申請の提出期限がくることがあるので注意してください。
相続人による青色申告承認届出書
青色申告承認申請の提出期限はどのように決められているのですか?
お亡くなりになった方の事業を続ける場合には、お亡くなりになった方が白色申告をしていたか、青色申告をしていたかによって、相続した人による青色申告承認申請書の提出期限が違います。
青色申告でも白色申告でも亡くなった日によって期限が変わるんですね。
はい。色々なケースがあるので必要ならメモを取ってくださいね。
まず、お亡くなりになった方が青色申告を行っていた場合です。相続開始日が年初から8月31日までであれば、4ヶ月以内に青色申告承認申請書を提出しなければいけません。
そうですね。相続開始日が9月1日から10月31までであれば12月31日までに、11月1日から12月31日までであれば翌年2月15日までに青色申告承認申請書を提出しなければいけません。
わかりました。今回はこのケースに該当しそうですね。
次に、お亡くなりになった方が白色申告をしていた場合ですが、相続開始日が年初から1月15日までであれば3月15日までに、1月16日から12月31日までであれば相続開始日から2ヶ月以内に青色申告承認申請書を提出しなければいけません。
白色申告から青色申告に変えたいときは気を付けなければいけませんね。
そうですね。期限を過ぎるとできなくなりますからね。
相続で事業承継した場合に提出すべき書類は何か
相続した人が青色申告する場合、青色申告承認申請書の他に、必要な届出もあります。
青色申告の承認を受けていた方が亡くなったことにより、青色申告を取りやめる手続きが「所得税の青色申告の取りやめ手続」です。提出期限は、青色申告を取りやめようとする年の翌年3月15日までです。
そうです。次に給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出です。
相続して事業を継ぐことによって、給与の支払をしている事務所を移転し、引き続き従業員を雇う場合、または新しく事務所をかまえた場合に必要な届出です。提出期限は、事務所の移転があった日または新しくかまえた日から1ケ月以内です。
はい、そうです。あと、個人事業の開業届出・廃業届出等手続です。相続して新しく事業を始めたときに必要な届出です。提出期限は、以前事業をしていた方が亡くなった日から1ケ月以内です。
今までの事業の他に、新しい事業を始めた時ということですか?
そうですね。最後に青色事業専従者給与に関する届出手続きです。以前事業をしていた方が亡くなる前から青色事業専従者だった人に対して、事業を継いだあとも引き続き青色事業専従者として給与を支払い、その給与を必要経費にしたい場合には必要となります。提出期限は、必要経費に算入したい年の3月15日までです。ただし、その年の1月16日より開業した場合や新しく専従者が増えた場合は、その日から2ヶ月以内となります。
青色確定申告する人と一緒の生活資金で暮らしている15歳以上の家族や親族の従業員のことです。家族経営と呼ばれる事業の従業員はこのケースが多いですね。
へー知りませんでした。家族も従業員として認められれるんですね。
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