今回は、アクティブファンドに隠された真実について解説します。このチャンネルをご覧の方々の中にも、最近、アクティブファンドが人気あるようで、証券会社の営業マンからも勧められたけれど、私も投資してみようかと考えている人が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ノーベル経済学賞を受賞した経済学者が作った現代ポートフォリオ理論に基づいて検討すれば、アクティブファンドが大間違いであることについて、公認会計士がわかりやすく解説いたします。ぜひ最後までご視聴ください。
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アクティブファンドに隠された真実

岸田先生、新聞に「アクティブファンドが人気」だという記事があったのですが、アクティブファンドは間違った運用ではなかったのでしょうか。私は、金融論の授業で、「インデックスファンドが正しい」と学習しましたが、なぜアクティブファンドが人気なのでしょうか。





それは、金融庁が公表した「資産運用業高度化プログレスレポート」が原因かもしれない。10年間の運用成績がインデックスを上回ったアクティブファンドの割合は、日本では33%、アメリカでは13%、ヨーロッパでは21%となっていると報告されていて、アクティブファンドの勝率は日本が1番高いと称賛されているんだ。この結果を見て、アクティブファンドへの資金流入が増加しているのかもしれないね。



どうして金融庁がアクティブファンドの成果を称えるのでしょうか。
間違った運用方法ですよね?



それは、アクティブファンドが、資産運用会社の調査活動によって、中長期的に成長性の高い企業を発掘する機能を担っているからだね。日本企業の企業価値を高めてくれる役割が期待されているんだ。



しかし、日本の資産運用会社が、中長期の資産形成に向かない金融商品を多く作るといった問題は長年指摘されていて、この代表例がアクティブファンドではないですか?岸田文雄首相は「資産運用業等を抜本的に改革することが重要だ」と言っているじゃないですか。それなのに、金融庁は何を今さら、問題ある金融商品に注目を集めようとしているのでしょうか。



それは鋭い指摘だね。個人投資家の金融リテラシーは、近年、向上してきているようで、一番人気のあるインデックスファンドの「イーマクシス・スリム米国株式(S&P500)」は、残高2兆円を超える規模まで巨大化したんだよ。これは、個人投資家が「アクティブ運用はパッシブ運用に勝てず信託報酬も高い。インデックス型を選ぶ方が良い」という真実を知ってしまったからだろうね。





金融論の授業で、ノーベル賞学者であるハリー・マーコウィッツの現代ポートフォリオ理論を学習したのですが、確か、、、こういうことでしたよね。投資家は、高いリターンと低いリスクを求めている。たくさんの投資対象を組み合わせたポートフォリオで、リターンとリスクの色々な選択肢を集めてグラフにすると、左向きに凸になるような領域として描かれる。そこで、投資家は、リターンが高く、リスクが低くしようとするので、その領域の中では、できるだけ左上のあるポートフォリオの選択肢を選ぼうとするということですね。



そうだね。よく勉強しているね。



国債や預金など、リスクの無い資産との組み合わせまで考えるとすれば、国債のリターンである国債利回りと、リスク資産を組み合わせたポートフォリオのリターンの加重平均になるから、右上がりの直線を描くことができます。投資家は、高いリターンと低いリスクを求めますから、その直線をなるべく左上に位置させるように描きたいのです。そうすると、リスク資産の組み合わせは、投資可能な領域のグラフと、右上がりの直線の接点となる1点に決定するわけですよね。





そうだね。この1点を接点ポートフォリオというんだ。これが、誰でも投資することが可能で、最も高いリターンと最も低いリスクを実現できるポートフォリオなんだよね。現代ポートフォリオ理論によれば、リスク資産への最適な投資比率は、全ての投資家間で同一となり、すべての投資対象を時価総額の割合に応じた比率で投資するものになると言われているんだ。



理想は、すべての株式を、時価総額の割合に応じて投資するのが最も効率的だということなんですね。



そうだ。それを個人で実行するのが困難だから、接点ポートフォリオと同じ考え方を持つ株価指数に連動するファンドに投資するのが、現実的なんだよ。接点ポートフォリオと近い株価指数は、全世界株式を対象とするMSCIワールドインデックスだろうね。



なるほど、インデックスファンドは、理論的に正しい運用方法なんですね。ちなみに、一番人気のあるS&P500が、一番効率的だというわけではないのですか?



理論的には、アメリカだけでなく全世界株式を対象とするインデックスファンドのほうが効率的だよ。ここは人気の違いだろうね。リターンとリスクに大きな違いは無いから、好きなほうを選んだらいいよ。



アクティブファンドの人気が出てくると、インデックスファンドがいつか負けてしまう日が来るのではないですか?





アクティブファンドが高いリターンを狙うのは、むしろ歓迎すべきことで、それによって、成長性の高い企業が発掘されて、企業価値を高めてくれると、証券市場全体の時価総額が増大するよね。時価総額が増大すれば、インデックスファンドの時価も上昇するから、インデックスファンドが負ける日は未来永劫やって来ないよ。今後もアクティブファンドは負け続けるだろうね。現代ポートフォリオ理論に従えば、負けるのが当然なんだよ。



わかりました。これからもインデックスファンドでの資産運用を継続するようにします!
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