投資指標とは、企業の財政状態や経営成績を測る指標をいいます。これらに基づいて、投資家は、株価が割安であるか、割高であるかを判断します。今回は、代表的な投資指標として、配当利回り、配当性向、株価収益率、株価純資産倍率、自己資本利益率を学習しましょう。
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配当利回り

配当利回りとは、株価に対する年間配当金の割合を示す指標で、1株あたりの年間配当金の株価に対する割合として計算されます。
たとえば、現在の株価が1株1000円で、配当金が1株当たり年10円であったとすると、配当利回りは1%と計算されます。
配当利回り(%) = 1株当たりの配当金 / 株価 × 100
配当性向

配当性向とは、税引き後の当期純利益のうち配当金として支払われた金額の割合を示す指標で、1株あたりの配当金額の1株あたりの純利益(EPS)に対する割合として計算されます。
たとえば、配当金が1株あたり年10円で、1株当たりの純利益が100円であったとすると、配当性向は10%として計算されます。
配当性向が高いほど、利益を株主に多く還元していることを表し、反対に配当性向か低いほど、利益を内部に多く留保していることを表しています。
PER(株価収益率)

PERは、Price Earnings Ratioの略で、株価収益率のことです。これは、株価が1株あたりの利益の何倍になっているかを示す指標で、株価を1株当たりの純利益で割って計算します。
たとえば、株価が3000円で、1株あたりの純利益が50円であったとすると、株価収益率は60倍だと計算されます。
これは、利益水準に対する株価の割高感、割安感をみるもので、その会社の過去の数値や同業他社の数値と比較して、PERが高いほど割高、低いほど割安であると判断されます。利益成長性が高い企業のPERが高くなります。
PBR(株価純資産倍率)

PBRは、Price Book-value Ratioの略で、株価純資産倍率のことです。これは株価が1株あたりの純資産の何倍になっているか示す指標で、株価を1株あたりの純資産で割って計算します。
たとえば、株価が1200円で、1株当たりの純資産が600円であったとすると、株価純資産倍率は2倍と計算されます。
一般に、PBRが高いほど株価は割高、低いほど割安と判断されます。一般的に、純資産は企業の解散価値を表していると考えられることから、PBRが1倍を下回るということは、株価が解散価値を下回るほど割安になっていることを意味します。
ROE(自己資本利益率)

ROEは、Return On Equityの略で、自己資本利益率のことです。自己資本とは、純資産から新株予約権と少数株主持分を除いた部分です。自己資本に対する税引き後当期純利益の割合として計算されます。自己資本は、株主資本や純資産と異なるので注意しましょう。
たとえば自己資本が2000億円で、税引き後当期純利益が40億円であったとすると、40億を2000億で割って自己資本利益率は2%と計算されます。
自己資本利益率は、企業が株主から調達した資本を十分に活用して利益を上げているかどうかを示すものです。収益性が高く成長性のある企業の自己資本利益率が高くなります。
株式市場と証券取引所

株式を売買する市場には、発行市場と流通市場があります。
企業が資金調達するために新しい株式が発行されますが、その株式は、証券会社の仲介によって、投資家に購入されます。これを発行市場といいます。
また、すでに発行された株式は、証券取引所を通じて自由に売買されます。これを流通市場といいます。証券取引所は、札幌、東京、名古屋、福岡の4か所にありますが、その中でも特に多くの上場株式を扱っているのが東京証券取引所です。
株価指数

株式指数は、株式市場全体の動きをわかりやすく指標化したもので、日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)があります。
日経平均株価とは、東証プライム上場の225銘柄の株価の平均値です。株価の高い銘柄の値動きに影響を受けやすいという特徴があります。
一方、東証株価指数(TOPIX)とは、東証プライム市場に上場する全銘柄と、過去に東証第一部に上場していた時価総額100億円以上の銘柄を対象にして時価総額を計算し、1968年1月4日の時価総額を100として指数化したものです。時価総額の大きい株の値動きに影響を受けやすいという特徴があります。
まとめ
今回は、代表的な投資指標として、配当利回り、配当性向、株価収益率、株価純資産倍率、自己資本利益率を学習しましょう。これらの指標の計算式を覚え、自ら計算できるようになっておきましょう。
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