今回は、建築基準法の3つ目のテーマで、高さに関する規制について学習します。
斜線制限、日影規制など、近隣住民の陽当りを守る規制があります。また、防火地域では耐火建築物を建てるなど火災の延焼を防止する規制もあります。
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第1種・第2種低層住居専用地域、田園住居地域の建築物の高さ制限

第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域および田園住居地域内においては、建物の高さは、原則として、10メートルまたは12メートルのうち、都市計画で定められた高さの限度を超えてはいけません。これは「絶対高さ制限」と呼ばれます。
斜線制限

斜線制限とは、建物と建物の間に空間を確保して、日照・採光・通風を妨げないようにするための制限で、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限限の3つがあります。
(1) 道路斜線制限
道路斜線制限は、前面道路の反対側の境界線から、敷地方向に一定の勾配で斜線を引いて、建物の高さを、その斜線の高さ以下に制限するものです。これは、すべての用途地域の建物に適用されます。
(2) 隣地斜線制限
隣地斜線制限は、隣地との境界線上の高さ20メートルまたは31メートルのところから、敷地方向に一定の勾配で斜線を引いて、建築物の高さをその斜線の高さ以下に制限するものです。
ただし、この隣地斜線制限は、10メートルまたは12メートルの絶対高さ制限のある第1種・第2種低層住居専用地域および田園住居地域には適用されません。
(3) 北側斜線制限
北側斜線制限は、前面道路の反対側の境界線上、または隣地境界線上の高さ5メートルまたは10メートルのところから、真北方向から真南に向かって一定の勾配で斜線を引いて、建物の高さをその斜線の高さ以下に制限するものです。太陽は南から照りますので、これによって北側の隣地の日当たりを確保することができます。
北側斜線制限は、住環境を保護する必要性の高い第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域および田園住居地域の建物に適用されます。ただし、第一種・第二種中高層住居専用地域で、日影規制がある場合には、北側斜線制限は適用されません。日影規制のほうが厳しいからです。
日影規制

日影規制とは、高層マンションなどの建物が周りの敷地に影を落とす時間を一定時間以内とする規制です。
日影規制は、地方公共団体の条例で指定する区域において適用されます。住居系のすべての地域、近隣商業地域、準工業地域に適用されますが、商業地域、工業地域・工業専用地域内の建築物については適用されません。
防火地域、準防火地域

建物が密集する市街地で火災が起きると、延焼して被害が拡大するおそれがあります。そこで、市街地の建物の防火機能を向上させるため、都市計画区域には、防火地域および準防火地域が定められています。
防火地域および準防火地域では、一定規模の建物には、一定の耐火機能を持たせた耐火建築物とするように制限されています。
耐火建築物とは、主要構造部が耐火構造になっており、延焼のおそれがある部分に防火扉を設けた鉄筋コンクリート造の建物です。また、準耐火建築物とは、主要構造部が準耐火構造になっており、延焼のおそれがある部分に防火扉を設けた鉄骨造などの建物です。
防火地域内では、3階建て以上の建物、または、延べ床面積が100平方メートルを超える建物は、必ず耐火建築物としなければなりません。延床面積が100メートル以下で、2階建てまでの建物であれば、準耐火建築物とすることも認められます。しかし、木造の建物を建てることはできません。

準防火地域内では、4階建て以上の建物、または延べ床面積が1500平方メートルを超える建物は、必ず耐火建築物としなければなりません。一方、延べ床面積が500平方メートルを超え1500平方メートル以下の建物では、3階建てまでであれば、準耐火建築物とすることが認められます。延べ床面積が500平方メートル以下の建物では、3階建てであれば準耐火建築物とすることが認められますし、2階建てか平屋であれば、防火措置を行った木造建物を建てることが認められます。
建物が、防火地域、準防火地域にまたがる場合は、原則として、その建物の全部について、防火地域内の建築物に関する規定が適用されます。また、建物が防火地域または準防火地域と、これらの地域として指定されていない区域にまたがる場合は、原則として、その全部について、それぞれ防火地域または準防火地域内の建築物に関する規定が適用されます。
ただし、境界にあたる部分に防火壁を設置した場合はそれぞれの制限が適用されます。
まとめ
今回は、建築基準法の高さに関する規制、斜線制限、日影規制、防火地域における耐火建築物などについて学習しました。受験対策として、暗記することも必要です。しっかりと復習しておきましょう。
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