【M&AのDD】経営企画部や財務部はビジネス・デュー・ディリジェンスをどのように進めるべきか

今回は、ビジネス・デュー・ディリジェンスの具体的な進め方について解説します。ビジネス・デュー・ディリジェンスと聞くと、これまでM&Aを経験された方であればピンとくると思いますが、経験のない方はサッパリわからないのではないでしょうか。

そこで今回は、ビジネス・デュー・ディリジェンスの担当者となった場合、具体的にどのように進めることになるか、公認会計士がわかりやすく解説いたします。

この動画を観ると、ご自身の勤務先に突然M&A案件がやってきて、その検討作業を担当しろという命令があっても、落ち着いて仕事を始めることができるようになるというベネフィットを得ることができます。ぜひ最後までご視聴ください。

目次

外部経営環境内部経営資源調査の必要性

相談者

先生、外部経営環境の調査内部経営資源の調査って、どのように違うのでしょうか?

岸田先生

どちらも事業価値を評価することが目的だけど、調査方法や重点を置くポイントが違うんだ。外部経営環境の調査では、市場環境や競争優位性を見ることが大事だけど、内部経営資源の調査では、従業員の能力など、組織内部の要素に注目するんだよ。

相談者

内部経営資源の調査って、初期的な検討段階では実施が難しそうですね。

岸田先生

そうなんだよ。実際は、十分に実施されているケースのほうが少ないんだ。しかし、製造業などでは、技術力が対象事業強みを生み出すことが多いから、内部経営資源の調査はとても重要なんだ。技術力は、事業計画のコスト面を見極めるために必要な情報だからね。

相談者

なるほど、内部経営資源の調査は具体的にどのように進めるのでしょうか?

岸田先生

例えば、製造業であれば、従業員の技術力や生産設備の効率性を調査するんだ。サービス業であれば、社員の接客スキルや管理能力が強みになることがあるから、それらを調査すべきだね。どの業界であっても、内部経営資源が競争力に直結することが多いから、しっかりと調査しておきたいね。

相談者

なるほど、内部経営資源を詳しく調査することで、事業価値を正確に評価できるわけですね。

外部経営環境の調査の進め方

相談者

先生、外部経営環境の調査のやり方について教えてください

岸田先生

これには3つのステップがあるんだ。1つ目は、市場環境のチェックで、市場が成長するのか、成長の原因は何かを調べる。新しい市場の場合、成長の余地も重要だね。

相談者

新しい市場だと予測が難しそうですね。

岸田先生

次に、業界の構造を分析するんだ。売り手と買い手の力のバランスや新しい競争相手の出現を予測するんだよ。「今まで」と「これから」を分けて考えることが大事だね。最後に、対象事業の競争優位性を調べるんだ。専門用語ではKBF、重要な購買要因と言うんだけど、顧客が何を重視して商品やサービスを買っているか明らかにして、競合他社との比較を行うんだ。もちろん、「今まで」と「これから」を分けて分析して、重要な購買要因を見誤らないよう注意しなければいけないね。

相談者

重要な購買要因というのがよく理解できないです。

岸田先生

顧客にとって、「絶対に満たすべき要素」と「選択肢の中で決定に影響する要素」を区別することが重要だね。例えば、「豊富な実績」が重要な購買要因だと考えられる場合もあるけど、その「豊富な実績」が最低限必要な要素なのか、それとも顧客が競合企業ではなく対象会社を選ぶ理由となるのか、慎重に見極める必要があるね。

内部経営資源の調査の進め方

相談者

内部経営資源の調査はどのように進めるのでしょうか

岸田先生

内部経営資源の調査は、内部の運営面を詳しく調べることですが、3つの目的があります。まず1つは、QCD、すなわち品質、コスト、納期を調べることです。競合企業と比較して、改善できるポイントを見つけます。2つ目は、問題点を見つけることです。製品の不良率や返品率、リスク要因などを調べます。また、人事・組織が事業の成長を妨げることがないかも確認します。

岸田先生

3つ目は、事業計画が現実的かどうかを調べることです。内部経営資源の調査では、コスト面に焦点を当て、過去のデータをもとに今後のコスト維持や悪化の可能性を調べます。また、生産性向上や潜在的な問題も考慮に入れます。

相談者

内部経営資源の調査を行うためには、どんな人材が必要ですか?

岸田先生

現場の実務に詳しい人材が必要ですね。対象事業に係る専門知識と経験を持つ人が適任でしょう。

ビジネスDDの注意

相談者

先生、外部事業環境の調査と内部経営資源の調査はどちらもビジネス・デュー・ディリジェンスに不可欠だと聞きましたが、何か注意点はありますか?

岸田先生

いい質問だね。重要なことは、対象事業の現状に合ったポイントに注目することだ。事業の種類や成長状況、競合他社の状況によって、調査すべきポイントは変わってくるからね。

相談者

例えばどんなポイントが変わるんですか?

岸田先生

例えば、売上高が少数の大口得意先に依存している場合、その得意先との関係を継続できるかどうかを調べることが重要になるよね。
しかし、大口得意先に依存していない場合は、市場全体を見ることが必要となる。

相談者

調査のポイントが事業の状況によって変わるんですね。ありがとうございました。

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