今回は、土地や建物の賃貸借契約のうち、期間の定めのある定期借地権と定期借家権について学習しましょう。
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定期借地権

定期借地権は、更新がない期限付の借地権です。一般定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権の3つがあります。
一般定期借地権

普通借地権の場合、契約期間が満了したとき、借地人は、地主に対して、建物の買い取りを請求することができます。
また、契約期間中に、建物が火事で燃えてしまったことなどによって、借地人が、新たな建物を建築し、その建物を残りの契約期間を超えた長期間使用することが可能であるとき、地主の承諾があれば、借地権がその後20年間延長することになります。
このような規定が無いという特約を、定期借地権に付けることがあります。
存続期間を50年以上として定期借地権を設定すると、契約の更新がないだけでなく、建物の建築による存続期間の延長がない、建物買取請求権がないという特約を付けることができます。この特約がある定期借地権のことを、一般定期借地権といいます。
一般定期借地権の存続期間は50年以上とされていますが、貸主と借主が合意すれば、50年よりも長い期間とすることができます。
存続期間の満了によって借地権は消滅します。借主は建物を取壊し、更地にして貸主に返還しなければなりません。
一般定期借地権の契約は、書面によって締結しなければなりません。将来のトラブルを回避するためです。 登記は必要ないですが、登記した場合には、存続期間などの登記事項が、権利部の乙区に記録されます。
事業用定期借地権

事業用の建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を10年以上とすれば、存続期間が50年未満であっても、一般定期借地権と同様の効果を得ることができます。これを事業用定期借地権といいます。
事業用定期借地権の契約は、公正証書によって締結しなければなりません。公正証書が必要とされるのは、存続期間か10年以上50年未満となっていることが、一般定期借地権よりも借主にとって不利な内容だからです。
ちなみに、存続期間が30年以上であれば、一般定期借地権と同様に、契約の更新がないこと、建物の建築による存続期間の延長がないこと、建物買取請求権がないことを特約として定めることができます。
存続期間が30年未満であれば、これらの規定を特約として定めることができません。これらの規定は、期間が最低30年とされる普通借地権の規定だからです。
建物譲渡特約付借地権

借地権を消滅させるため、30年以上経過したときに建物を地主に相当の対価で譲渡する特約を定めることができます。この特約がある定期借地権を建物譲渡特約付借地権といいます。
存続期間は30年以上としなければなりませんが、契約で30年以上とすることもできます。
建物譲渡特約付借地権の契約は、書面によることを必要とされていません。これは、建物の所有権移転請求権の仮登記が行われ、譲渡特約の存在が明らかになっているからです。
借地権者は、土地と建物を一緒に地主へ返還します。しかし、建物に居住していた賃借人が、住み続けることを希望するかもしれません。そこで、借地権が消滅したときでも、建物の賃借人が請求したときは、建物の賃借人と地主との間で、期間の定めのない賃貸借契約が行われたものとみなされます。これによって、建物の賃借人は、引き続き住み続けることが可能となるのです。
定期借家契約

定期建物賃貸借とは、更新がない期限付きの賃貸借契約のことです。定期借家契約と、取壊し予定の建物の賃貸借契約の2つあります。
定期建物賃貸借契約とは、契約期間が満了すると、更新することができずに契約が終了する賃貸借契約のことをいいます。これは、一般に定期借家契約と呼ばれています。居住用の建物に限定されず、事業用の建物であっても、定期借家契約を結ぶことができます。期間に上限はなく、1年未満とすることも可能です。
定期借家契約は、書面で行うことが必要です。また、契約を行う前に、この契約が期間満了によって終了することを書面で説明しなければなりません。
定期借家契約は、契約期間が満了すると、更新することができず、賃貸借契約は終了します。ただし、賃貸借期間か1年以上である契約の賃貸人は、賃貸借期間が満了する1年前から6か月前までの間に、賃借人に対して賃貸借契約が終了することを通知しなければいけません。
定期賃貸借契約は、原則として、中途解約することができませんが、定期借家契約では、例外があります。すなわち、居住用で床面積が200㎡未満の建物に限って、転勤、療養、介護など賃借人のやむを得ない事情がある場合には、特約がなくても中途解約を申入れることができます。
取壊し予定建物の賃貸借契約

取壊し予定建物の賃貸借契約とは、法令または契約によって建物を取り壊すことが確定している場合、建物を取り壊すときに契約が終了するという特約を定めることができます。このような特約を付けた契約は、書面を作成しなければいけません。
建物賃貸借の効力

借地借家法では、建物賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、建物の引渡しを受けて入居していれば、その後にその建物の所有権を取得した人に対して賃借権を主張することができます。
まとめ
今回は、土地や建物の賃貸借契約のうち、期間の定めのある定期借地権と定期借家権についてについて学習しました。
3種類の定期借地権それぞれの存続期間、利用目的、契約方法、建物買取請求権について、しっかりと理解しておきましょう。
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