前回の動画では、経営者には死亡リスクと相続リスクがあること、事業承継には法人保険を活用できることをお話ししました。
今回は、相続・事業承継の成功事例を紹介します。このチャンネルをご覧の方々の中にも、事業承継にお悩みを持つ経営者、経営者に対して生命保険を提案する保険営業担当者が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、相続・事業承継に活用できる法人契約の生命保険について、公認会計士がわかりやすく解説いたします。ぜひ最後までご視聴ください。


このチャンネルでは、会計監査を通じて投資家を保護する公認会計士が、公正中立の立場から、投資初心者の皆さまに正しい金融経済教育を提供しております。それでは解説を始めましょう。
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若くして突然死亡するリスク

前回の動画では、会社の経営者である私には、
死亡リスクだけでなく相続リスクがあること、相続リスクに備えるめ、法人保険を解約して退職金を支払うことを理解しました。
死亡リスクについて、具体的な解決策を教えていただけますか?



死亡リスクには、法人保険で対応します。契約者と受取人が会社、被保険者は社長です。社長にもしものことがあれば、会社に死亡保険金
が支払われますので、これで借入金を返済します。一方で、ご家族の皆様にお金をお渡しするために、会社が死亡退職金を支払うことになります。ただし、株主総会の決議が必要なので、遺産分割協議の後になるでしょうね。





遺産分割協議とは何でしょうか?



遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方について話し合い、合意することです。遺言書があれば、基本的にそれに従って分けるのですが、無ければ話し合いで分けことになります。





会社の株式はどうなりますか?すべての株式を長男に持たせようと
思っているのですが。



突然の相続では、相続人全員の共有となりますので、長男お一人に株式を取得させるかどうか、話し合いによって決めることになります。話し合いがまとまらなければ株主が確定せず、株主総会の決議を行うことができません。そうなると死亡退職金を誰にいくら支給するかという問題は、遺産分割協議の後の話となります。
退職金の損金算入限度額





なるほど、退職前に若くして私が死亡すると、我が家は大混乱に
なってしまいそうですね。病気で早死しないよう、健康には気をつけるようにします。元気に70歳まで働くことができたとすれば、退職金をいくらもらえるのでしょうか。



退職金には、経費に入れることができる限度があります。
その限度額は、退職時の報酬月額×勤続年数×功績倍率です。社長の功績倍率は3倍とすればよいでしょう。ここで計算してみましょうか。いま毎月の役員報酬はおいくらですか?
限度額 = 退職時の報酬月額 × 勤続年数 × 功績倍率



報酬は毎月100万円もらっています。



創業されてから今年で20年と伺いました。あと15年が
んばって70歳で引退するとすれば、通算の勤続年数は35年となりまね。
その場合、100万円×35年×3倍となって、経費に入る限度額は約1億円
となります。
遺産分割のための終身保険



わかりました。1億円も退職金をもらうことができれば、老後の生活も心配ないですね。それで、長期平準定期保険と終身保険のどちらに加入すればよいのですか?





それは、相続資金と老後資金の2つに分けて考えるんです。
後継者ではないお嬢様の遺産として最低でも5千万円くらいは必要になるとすれば、相続資金として5千万円を「終身保険」で用意しましょうか。終身保険であれば、どんなに長生きしても必ず死亡保険金が支払われるからです。



退職した後に、個人で終身保険に加入するのですか?





いえ、法人契約から個人契約へと名義変更を行えばいいのです。
保険契約が時価で個人へ移転したと考え、現物支給の退職金という取り扱いとなります。いかがですか?



そうですね。5千万円あれば相続は大丈夫でしょうね。



そうすると、70歳で引退されるときに、退職金として保険契約を現物支給します。そして、この終身保険を相続まで持ち続けるのです。受取人は、後継者であるご長男様とすればよいでしょう。



長男には株式を相続させるつもりです。保険金まで長男に渡すことにすれば、娘たちが怒り出すのではないでしょうか。





この保険金は、ご長男様からお嬢様お二人へお渡しするお金とするのです。これを代償金といい、このような分け方を代償分割といいます。
この分け方によれば、遺産分割の問題が解決するのです。
別の動画で詳しく解説していますので、そちらをご覧ください。


老後資金のための長期平準定期保険



わかりました。1億円の退職金のうち5千万円を終身保険で受取
るとしますと、残りの5千万円はどうするのですか?



それは、長期平準定期保険で準備します。
契約者と受取人が会社、被保険者が社長です。保険料は終身保険と同じくらいの金額なのですが、支払った保険料のうち4割が経費に入るので課税の繰延べができますし、保険金額が終身保険よりも2割くらい大きくなるのでお得なんです。その解約返戻金5千万円を退職金として現金で支払います。これが社長個人の老後資金となります。





こちらも、会社に保険料を払っておいてもらうわけですか。
そうすると、私個人としては、退職したときに、5千万円の現金と時価5千万円の保険契約を受け取るということですね。
現金と保険で半分ずつというのはバランスがいい感じがします。



そうですね。事業承継を行うということは、老後の生活資金を準備することと、相続対策となる資金を準備することを意味します。
保険料を会社で支払うために、法人契約とするにしても、退職するときには、すべて個人へ名義変更しなければいけません。
そのうえで、相続資金は終身保険、老後資金は解約返戻金で準備すると考えればよいでしょう。



わかりました!ありがとうございました。
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