節税必須!社長の相続税を安くするための5つの方法

相続問題は早めに考えましょうと言われますが、その中でも会社の社長の相続は、特に慎重に考える必要があります。それは、会社の株式を相続することになるからです。

皆さん、こんにちは。公認会計士の岸田です。

今回は、中小企業経営者の相続について解説します。このチャンネルをご覧の方々の中にも、自分が経営する会社の株式を持っている方が多いのではないでしょうか。株式は、会社を支配する権利証であると同時に、持っている人の「個人財産」でもあります。現預金や不動産のように、子どもたちへ平等に相続すればよいというものではありません。また、相続税も重くなるケースが多く見られます。

そこで今回は、社長の持つ株式の相続について、公認会計士がわかりやすく解説いたします。ぜひ最後までご視聴ください。

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株式の相続は分け方が難しい

松下

あのときは、本当にお世話になりました。松下商店が繁盛していたんですが、まさか脳梗塞で倒れて75歳で死んでしまうとは・・・。いま私は天国で幸せに暮らしていますが、家族のことが心配です。

岸田

松下さんのご相続は、すっきりまとまってよかったですね。

松下

それが、まとまっておらず、子どもたちが大喧嘩しているんですよ。

岸田

どうなさいましたか?

松下

あのとき、家族で話し合いが行われて、結局は会社を継いだ息子に株式をぜんぶ持たせ、会社を継がなかった娘には、私の自宅と銀行預金を持たせることになったようです。家内が決めたみたいです。

岸田

そうでしたね。

松下

そうしたら、娘が大騒ぎしだして、「どうして、お兄ちゃんには、3億円の価値ある株式を渡して、私にはボロ屋敷と2千万円ちょっとの現金なのよ!不公平じゃないの!」と言って、あれからずっと息子と大喧嘩しているんですよ」

岸田

そうでしたね。お嬢様にも、もっと財産を残しておいてあげたら、よかったですね。早めに準備しておくべきでした。

松下

早めの準備ですか、私はどうすればよかったのでしょうか?

岸田

息子さんに会社を継がせるのであれば、息子さんに株式を渡さなければいけない、それは実現できました。社長は、会社の株式全部とは言わないまでも、支配する権利を持つに足る十分な数を持たなければいけません。一般的には、社長は半分以上の株式を持たないといけないと言われています。息子さんは株式すべてを相続しましたから大丈夫です。一方で、社長が持っていた株式は、社長個人の財産でした。社長が亡くなったときに、お子様たちに相続されることになりましたよね。 株式の相続を考えた場合、社長が持っている財産のうち、株式が最も大きな価値を持っているケースが多いのです。このような状態だと、息子さんに大きな財産が渡され、お嬢様には、残りの小さな財産しか渡されないことになります。お嬢様も息子さんと対等な立場ですから、不公平な分け方に不満を言い出すことになるわけです。 誰でも財産はたくさん欲しいですから、分け方を巡って喧嘩が発生することは、世間でもよくあるんですよ。

生命保険でお金を貯めておく

松下

そうでしたか。子ども2人の気持ちを考えなかった私のミスですね。ただ、あのとき私は会社の経営で精一杯でした。娘のために個人で財産を貯めようと考えている余裕が無かったですね。私はどうすべきだったのでしょうか?

岸田

松下さんのような場合、会社を継がなかったお嬢様に相続させるための財産を生前に増やしておくこと必要でした。 たとえば、松下さんが若いうちから、個人で投資信託など資産運用しておくとよかったかもしれません。または、生命保険に加入しておくことが考えられました。財産を貯める手段として、どちらでもいいですが、死亡保障が付いている生命保険がよかったでしょうね。

松下

生命保険ですか。そういえば、銀行の営業担当者から勧められたことがあったかもしれません。

岸田

具体的な商品として、終身保険があります。これは、社長を被保険者として、社長個人が契約するものです。社長が亡くなったときに、受取人に対して死亡保険金が支給されます。このお金をお嬢様にお渡しすることができれば、不平等はある程度解消されていたんですけどね。

松下

なるほど、終身保険ですか。でも、会社で契約する保険と違って、個人では節税の手段にはならないのでしょう?

岸田

いえ、生命保険には節税の効果がありますよ。死亡保険金には、「500万円かける法定相続人の数」という非課税枠があり、その部分には相続税がかからないのです。これはやらないと損ですね。

遺言書を書いておきたい

松下

そうなんですね、生命保険って相続問題に役立つのですね。知りませんでした。でも、死亡保険金だけもらっても娘は満足しないかもしれませんよ。

岸田

そうですね。まったく同額で分けるなんて現実的ではないですが、ある程度のバランスが取れたら、あとは松下ご自身で分け方を決めてしまえばよかったのです。つまり、生前に「遺言書」を書いておくべきだったのですよ。

松下

遺言書ですか!?

岸田

そうです、遺言書です。「遺言書」が作成されていた場合、原則として、「遺言書」に基づいて遺産が分けられることになります。家族が話し合いで分け方を決める必要が無くなるのです。

松下

なるほど、今回も早めに遺言書を書いておけばよかったのですね。それで家族円満だったわけですね。

岸田

いえ、そうでもないのです。実は、「遺言書」を書いた場合であっても、一つだけ注意点があります。それは、遺留分の問題です。

松下

遺留ブンって何ですか?

岸田

遺留分とは、相続する人たちに最低限保障される遺産の取り分のことをいいます。この取り分をもらえなかった人は、足りない分を他の人たちへ支払えと請求することができるんです。 松下さんの相続では、株式という大きな財産がありましたので、たとえ「遺言書」を書いたとしても、お嬢様に渡す財産が、遺留分を下回ってしまい、問題となります。 お嬢様が息子さんへ、足りない分の財産の支払いを求めて裁判沙汰になってしまうかもしれません。

松下

いやー、難しいですね。私は「うちの子どもたちはとても仲が良いから、大丈夫だ」と思っていたのですが、現実は違いますね。

岸田

そうなんです。親が亡くなった後には、子どもたちの間で争いがおきやすくなるのが現実です。相続の現場では、親の相続を巡って子どもたちが感情的な対立関係となり、骨肉の争いに発展して、絶縁状態に陥ってしまうケースもあるのですよ。

松下

あー、生命保険に入って、遺言を書いておけばよかったです。

株式の相続には相続税がかかる

松下

私の相続では、たくさん税金を取られましたよね。相続税って本当に厳しいですよね

岸田

そうですね、日本の相続税は高いのです。社長が若いうちに息子さんへ贈与するという方法もありましたが、今回は急なご病気でしたから、ご相続となってしまいました。松下商店さんは業績好調で儲かっていましたから、株式の財産としての価値がとても高かったのですよ。価値が高い財産ほど、相続税が多くかかるんです。 会社の成長と相続税の増加って比例するんです。この状況をもっと早いうちに理解しておくべきでしたね。

株式は早めに渡すか、評価を下げる

松下

そうなんですね。まあ、会社が成長することが一番良いことなので、それで満足してはいます。ただ、相続税をもっと減らす方法が無かったのかと思うんですよ。

岸田

相続税の負担を減らす方法は2つありました。一つは、息子さんへ株式を渡すタイミングを早くすること、もう一つは、株式の評価を下げることでした。

松下

タイミングと評価ですか?

岸田

そうです。相続よりも早いタイミングで株式を渡すとすれば、具体的な方法として、生前の「贈与」があります。この場合、相続税ではなく贈与税が課されます。

松下

それも考えてはいたんですが、間に合わなかったですね。

岸田

また、会社の業績が絶好調だったので、評価が低いうちに株式を子どもに渡してしまうことを真剣に考えればよかったですね。早いタイミングで渡すほど、税金の負担は軽くなったのです。

松下

そうなんですね。あと、株式の評価を下げることってできるんですか?

岸田

もう一つの方法が、株式の評価を下げてしまうというものですね。具体的な方法はたくさんあるのですが、代表的なものとして3つありました。退職金を支払う方法、不動産を購入する方法、持株会社を設立する方法でした。

松下

退職金ですか?私は急に死んでしまったので、もらうことはできませんでしたね。

岸田

松下さんに退職金の支払うとすれば、会社の利益は減って、資産が減少します。その結果として、会社の価値が下がり、株式の評価も下がるのです。ただし、経費に入る退職金の金額には上限がありますが。

松下

不動産と言えば、ちょうど本社ビルを買おうかと思っていたところでしたよ。

岸田

不動産を取得するとすれば、本社ビルを取得してもいいですし、投資用の賃貸不動産を取得してもよかったでしょう。実は、不動産という財産は、相続税の負担が他のものよりも軽い財産なのです。これによって、株式にかかる相続税が安くなるというわけです。

松下

へぇ、不動産だけ相続税が安いなんて知りませんでしたよ。

岸田

不動産による節税の効果は、個人であっても会社であっても同じです。ただし、会社の場合は、最低3年間持ち続けることが条件となっていますので、早めに購入しておくべきでしたね。

松下

あと、持株会社って何ですか?銀行の営業マンから一度提案を受けたことがありましたが。

岸田

持株会社の設立とは、松下さんと松下商店さんとの間に、もう一つ会社を作ってしまう方法です。

松下

あぁ、最近よく聞きますね。「松下ホールディングス」みたいな会社ですかね。

岸田

そのように中間に会社を置くことによって、株式の価値が上がりにくくなります。業績好調によって株式の価値が高まっても、中間の会社がそれを吸収してしまうとイメージしていただければよいでしょう。

松下

へーっ、そうなんですね。色々とやれることはあったんですね。早めに岸田先生に相談すればよかったですよ。

岸田

いえ、私よりも身近に聞きやすい人がいたじゃないですか。

松下

えっ?誰ですか?

岸田

公認会計士や税理士ですよ。公認会計士や税理士の中には、相続や事業承継の専門家がたくさんいます。このようなお悩みは真っ先に公認会計士や税理士に相談すべきでしたね。

松下

公認会計士や税理士の方々がそんな相談に乗ってくれるとは知りませんでした!

ご相談は公認会計士か税理士へ

事業承継支援の豊富な経験・専門性を有する公認会計士や税理士は、高齢化社会を背景に拡大する財産承継に係るお客様のさまざまなニーズにお応えするため、資産運用や生命保険だけでなく、相続や事業承継のアドバイスまで提供しております。ぜひご相談ください。

ここまでご視聴いただき、ありがとうございました。役に立ったと思われましたら、ぜひ「いいね!」とチャンネル登録をお願いします。それでは、次の動画でまたお会いしましょう!

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