【譲渡所得】分離課税となる株式の譲渡所得、土地・建物の譲渡所得を学ぼう!

今回は、譲渡所得について学習します。資産の譲渡であっても、営利目的で反復継続的に資産を売買しているときは「事業所得」が発生します。また、家具や衣服など生活に必要な動産を売却しても、所得は発生しません。譲渡所得とは、不動産や株式などの資産の譲渡によって稼いだ所得をいいます。譲渡所得の計算方法、長期と短期の区別、損益通算、税率について、しっかりと学習しましょう。

目次

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譲渡所得

(1)  譲渡所得とは

譲渡所得は、譲渡した資産の種類によって、「土地建物等の譲渡に係る譲渡所得」、「株式等の譲渡に係る譲渡所得」、および、「その他の資産の譲渡に係る譲渡所得」の3つに区分されます。

また、所有期間に応じて計算方法が異なります。

譲渡所得の課税方式は、土地建物等の譲渡に係る譲渡所得と株式等の譲渡に係る譲渡所得は申告分離課税ですが、その他の資産の譲渡に係る譲渡所得は総合課税となっています。

(2)  土地建物等の譲渡に係る譲渡所得

土地建物等の譲渡に係る譲渡所得とは、土地、借地権、建物などの譲渡による所得のことをいいます。

これは、譲渡した年の1月1日時点における所有期間に応じて、5年以内の短期譲渡所得と5年超の長期譲渡所得に区分されます。

所得金額は、総収入金額から、その土地建物等の取得費および譲渡に要した費用の合計額を控除して計算されます。

この点、建物は、期間が経過することで価値が減少していくため、建物の取得費は、購入代金から減価償却費相当額を差し引くことで計算されます。

また、取得費が不明な場合、取得費を収入金額の5%とすることもできます。

短期譲渡所得と長期譲渡所得の両方があり、一方が損失、一方が利益である場合には、それらを相殺することができます。これを損益通算といいます。

適用される税率は、短期譲渡所得には所得税30.63%と住民税9%hの合計39.63%、長期譲渡所得には所得税15.315%と住民税5%の合計20.315%です。

(3)  株式等の譲渡に係る譲渡所得

株式等の譲渡に係る譲渡所得とは、株式、公社債、投資信託などの譲渡によって稼いだ所得のことをいいます。

所有期間による短期・長期の区別はありません。 所得金額は、総収入金額から、その株式等の取得費および譲渡に要した費用の合計額を控除して計算されます。これに加えて、譲渡した株式等を取得するために支払った借入金の利息が控除されます。

適用される税率は、短期長期の区別はなく、所得税15.315%と住民税5%の合計の20.315%です。

なお、上場株式等の譲渡損失は、上場株式等の譲渡益と相殺してもなお損失が残ってしまう場合、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得等と相殺することができます。

(注)101,575円=50万円 × 税率20.315%

それでも損失が残ってしまう場合には、確定申告を行うことにより、翌年以降3年間にわたって、上場株式等の譲渡所得等の金額や、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得や特定公社債の利子所得の金額と相殺することができます。

(4)  その他の資産の譲渡に係る譲渡所得

その他の資産の譲渡に係る譲渡所得とは、土地建物等、株式等以外の資産、たとえば、ゴルフ会員権や30万円を超える貴金属・骨董品などの資産の譲渡によって稼いだ所得のことをいいます。

これは、譲渡時点における所有期間に応じて、5年以内の短期譲渡所得と5年超の長期譲渡所得に区分されます。

所得金額は、総収入金額から、その資産の取得費および譲渡に要した費用の合計額を控除し、そこからさらに特別控除額として最高50万円を控除して計算されます。

最高50万円の特別控除額については、短期と長期の両方の譲渡所得があるときは、まず短期譲渡所得から控除し、残額があれば長期譲渡所得から控除することができます。

総合課税のために総所得金額を計算する際に、短期譲渡所得はそのままの金額を合算するのに対して、長期譲渡所得は2分の1の金額を合算します。

まとめ

今回は、譲渡所得について学習しました。長期と短期、5年以内か5年超かという所有期間の判定について、土地・建物の場合は譲渡した年の1月1日時点で判定するのに対して、その他の資産の場合は、譲渡した時点で判定することなります。注意しましょう。

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