【給与所得】【退職所得】給与所得控除や退職所得控除で所得税がどれだけ安くなるか学習しよう!

今回は、会社役員やサラリーマンが稼ぐ給与所得と退職所得について学習します。会社員がどれだけ税金を取られているか、しっかりと理解しておくようにしましょう。

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給与所得

給与所得とは、お給料やボーナスなどに係る所得をいいます。残業手当、住宅手当、家族手当などの手当もこれに含まれます。しかし、出張旅費や月額15万円までの通勤手当、慶弔規定による見舞金・祝い金などの手当、会社から支給された制服などは給与所得には含まれず、非課税となります

給与所得の金額は、給与などの収入金額から、みなし必要経費である給与所得控除額を差し引いて計算されます。給与所得控除額は、収入金額に応じて異なっており、速算表を使って計算されます。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,625,000円まで550,000円
1,625,001円から 1,800,000円まで収入金額×40%-100,000円
1,800,001円から 3,600,000円まで収入金額×30%+80,000円
3,600,001円から 6,600,000円まで収入金額×20%+440,000円
6,600,001円から 8,500,000円まで収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上1,950,000円(上限)

給与所得者は、給与所得控除額とは別に、特定支出を控除することができます。特定支出とは、通勤費、転居費、研修費、資格取得費、単身赴任者の帰宅旅費のほか、勤務に必要となる図書費、衣服費、交際費などで最高65万円までの金額です。特定支出が給与所得控除額の2分の1を超える場合、その超えた部分の金額を控除することができます。

また、2022年現在、所得金額調整控除が2つあります。これによって、収入金額が850万円を超える人で、特別障害者、23歳未満の扶養親族がいる人、特別障害者である同一生計配偶者もしくは扶養親族がいる人の控除です。この要件に該当する方は、収入金額から850万円を差し引いた金額の10%を給与所得から控除することができます。

また、給与と年金の両方の収入がある人に関するもので、給与所得控除額を控除した後の給与所得、公的年金等控除額を控除した後の雑所得の合計額が10万円を超える人の控除です。この要件に該当する人は、給与所得から最高10万円が控除されます。

公的年金等の収入金額公的年金等に係る雑所得の金額
65歳未満の方70万円以下0円
70万円超130万円未満収入金額-70万円
130万円以上410万円未満収入金額×0.75-37万5000円
410万円以上770万円未満収入金額×0.85-78万5000円
770万円以上収入金額×0.95-155万5000円
65歳以上の方120万円以下0円
120万円超330万円未満収入金額-120万円
330万円以上410万円未満収入金額×0.75-37万5000円
410万円以上770万円未満収入金額×0.85-78万5000円
770万円以上収入金額×0.95-155万5000円
(参照:金融庁 タックスアンサー)

給与所得は、総合課税ですから、原則として確定申告が必要です。しかし、給与所得以外に所得がない場合には、年末調整だけで手続きが完了します。

すなわち、毎月の給与を受け取る際に、会社によって所得税が源泉徴収され、それを年末調整で精算することで納税が完了するのです。

ただし、年間の給与収入が2千万円を超える場合、給与収入以外の雑所得などの金額が20万円を超える場合は、確定申告が必要となります。

年末調整とは、1年分の給料やボーナスの収入金額の合計額に対する所得税と、毎月源泉徴収された所得税を12ヶ月分足し合わせた金額とに差があるときに、その年の最後の給料の支払いを受ける際に、過不足額を精算することです。

退職所得

退職所得とは、退職手当など、退職によって一時に受け取った給与に係る所得をいいます。また、国民年金、厚生年金などの社会保険から受け取った一時金、確定給付企業年金、確定拠出企業年金などから受け取った一時金などは、みなし退職手当として、退職所得に含められます

これらは、老後の生活資金になるものと考えられるため、給与所得よりも税負担が軽減されています

ただし、退職金を年金方式で複数年度にわたって分割して受け取る場合は雑所得となります。また、死亡後3年以内に支給された死亡退職金は、相続税の課税対象となります。

退職所得の金額は、退職手当の収入金額から、退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額です。

ここでの退職所得控除額は、勤続年数に応じて計算されます。すなわち、勤続年数20年までは1年あたり40万円を控除することができ、20年超の部分については1年あたり70万円を控除することができます。

1年未満の勤続年数は切上げて、1年として計算します。

ただし、勤続年数が5年以下の役員に対する退職手当には、2分の1を乗じる計算は行いません。また、障害者になったことに直接起因して退職した場合は、退職所得控除額に100万円が加算されます。

退職所得は分離課税です。会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合は、源泉分離課税となるため、所得税を源泉徴収されるだけで手続きは完了し、確定申告を行う必要はありません。この際、所得税の超過累進税率を適用して源泉徴収が行われ、それで納税は完了します。ただし、他の所得から控除しきれない繰越損失額を退職所得から控除する場合、他の所得から控除しきれない所得控除額を控除する場合、他の所得に対する税額から控除しきれない税額控除を退職所得に対する税額から控除する場合には、自ら確定申告を行うことができます

これに対して、会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合は、申告分離課税となるため、退職金から収入金額の20%の所得税が源泉徴収されたうえで、確定申告を行い、所得税額を精算する必要があります。退職所得に係る所得税が、源泉徴収税額よりも多くなるときは、確定申告によって差額分の税金を納めますが、源泉徴収税額よりも少なくなるときは、確定申告によって差額分の税金が還付されます

まとめ

今回は、給与所得と退職所得について学習しました。給与所得控除額と退職所得控除額だけでなく、退職所得が2分の1だけしか課税されない有利な計算になっていることを覚えておきましょう。

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