今回は、生命保険や損害保険を考えるために必要となるリスクマネジメントの考え方と保険募集人について学習しましょう。
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リスクマネジメントとは

リスクマネジメントの必要性
リスクとは、偶発的な事故によって、いつどのような損失が発生するかわからない不確実性のことをいいます。
われわれ個人の人生や、身の回りにはさまざまなリスクがあります。
そこで、私たちは、将来起こるかもしれない万一の事故などのリスクに対して準備を行うため、リスクマネジメントを行う必要があります。
これは、ライフプランを立てる際に重要なことです。
リスクマネジメントとは、リスクを軽減させ、リスクを回避するための対策を計画し、実行する手段のことです。
リスクの算定
リスクマネジメントでは、最初にリスクの算定、すなわち、リスクに対して準備する金額を確定させることが必要です。
夫の死亡リスクについては、遺族に必要となる保障額として算定することが可能でしょう。
しかし、自動車事故など算定が困難なリスクがあります。
リスクマネジメン卜の2種類の手法

リスクマネジメントの手法には、リスク・コントロールとリスク・ファイナンシングがあります。
リスク・コントロールとは、損失の発生頻度と大きさを削減する方法です。
具体的な方法として、「リスクの回避」、「リスクの損失制御」、「リスクの結合」、「リスクの分離」があります。
これに対して、リスク・ファイナンシングは、損失を補てんするために資金を準備する方法です。
具体的には、「リスクの保有」と「リスクの移転」があります。
ここで、「リスクの移転」とは、損失を他者に移転することをいい、これが保険の考え方につながっています。
リスク・コントロールによって損失を削減し、それでも残される損失に対してリスク・ファイナンシングによって準備することになります。
保険制度

公的保険と私的保険
リスクを回避したり低減したりすることをリスクヘッジといいます。
損失が大きなリスクに対して、l人でリスクヘッジすることは不可能です。そのため、保険を活用して、不特定多数の人間同士で相互負担する方法が用いられます。
保険の制度には、公的保険と私的保険とがあります。
公的保険は、国が運営する制度であり、強制加入となっている制度です。社会保険と呼ばれています。
社会保険には、健康保険、国民健康保険、国民年金、厚生年金保険、労働者災害補償保険、雇用保険などがあります。
支払う保険料、給付される保険金は、いずれも法律によって定められています。
しかし、公的保険は最低限の保障にすぎないため、必ずしも自分が必要とする保障に十分であるとは限りません。
そこで、不足している部分を私的保険で補完することが必要となります。
私的保険は、民間の保険会社が運営を行うものです。民間保険と呼ばれています。
生命保険と損害保険

民間保険は、生命保険と損害保険に大別できます。
生命保険は、人のみを対象とするもので、「第1分野の保険」といいます。
一方、損害保険は人だけではなく、物や賠償責任なども対象とするもので、第2分野の保険といいます。
これに対して、医療保険や介護保険のような保険は、生命保険と損害保険の中間に位置する保険です。
これらのような保険を第3分野の保険といい、生命保険会社も損害保険会社も扱うことができます。
保険の引受けと募集
媒介と代理
保険の募集とは、保険契約の締結を媒介または代理することをいいます。
募集の方法には、媒介と代理の2種類があります。
媒介とは、仲介の立場で保険の勧誘のみを行って、契約は保険会社に任せるものです。
これに対して、代理とは、保険会社に代わって契約そのものを成立させることです。
保険募集人

保険の募集ができる人は、保険募集人、保険代理店および保険仲立人の3者に限定されています。
いずれも内閣総理大臣の登録を受けなければならなりません。
まず、保険募集人は、保険会社などの使用人のことですが、保険会社のために保険の媒介および代理を行うことができます。
次に、保険代理店は、保険会社からの委託によって、保険募集人と同じく保険の媒介および代理を行うことができます。
ここで、1社の商品のみを扱う保険代理店を専属代理店といい、複数の保険会社の商品を扱う保険代理店を乗合代理店といいます。
そして、保険仲立人は、保険会社からの委託を受けることなく、保険契約者と保険会社との間で、中立的な立場で保険の媒介を行う人をいいます。
まとめ
今回は、生命保険や損害保険を考えるための基礎知識となるリスクマネジメントの考え方、保険募集人について学習しました。
社会保険で不足している部分を民間保険で補完するという考え方を理解しておきましょう。
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