【FP3級】在職老齢年金の仕組み!繰上げ/繰下げ受給の注意点とは?

今回は、60歳以降も会社員として働いていながら厚生年金に加入しつつ、同時に厚生年金を受給している方々に関係する在職老齢年金の制度です。

実は、働きながら年金を受給しようとすると、年金額が減額されてしまうのです。

人生100年時代と言われる高齢化社会、60歳を超えても働き続ける方が増加するはずです。在職老齢年金の計算をしっかりと学習しましょう。

目次

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在職老齢年金の仕組み

老齢厚生年金を受給することができる人が、会社に勤務して、厚生年金の被保険者であり続けると、会社からは給与をもらう一方で、厚生年金保険からは年金をもらうことになります。

それゆえ、働き続ける高齢者には、老齢厚生年金の一部が減額される場合や、支給停止となる場合があります。

これが、在職老齢年金という制度です。

在職老齢年金制度は、60歳以上65歳未満の被保険者の場合と、65歳以上の被保険者の場合によって、年金額の計算方法が異なります。

①60歳以上65歳未満の在職老齢年金制度

まず、60歳以上65歳未満の被保険者の年金額について説明しましょう。

ここで総報酬月額相当額をいう用語を使いますが、これは、「その月の標準報酬月額」に「その月以前1年間の標準賞与額の合計」を加算し、それら合計額を12で割った金額のことをいいます。

総報酬月額相当額

( その月の標準報酬月額 + その月以前1年間の標準賞与額の合計 ) ÷ 12

65歳未満の方々は、総報酬月額相当額と特別支給の老齢厚生年金月額の合計が、一定の上限額に達するまでは年金の全額が支給されます。

この一定の上限額は、2022年9月まで28万円、2022年10月から47万円です。

しかし、この上限額を上回る場合は、年金額が減額されます。

一方、総報酬月額相当額が47万円を超える場合は、さらに総報酬月額相当額が増加した分だけ年金が支給停止となります。

②65歳以上の在職老齢年金制度

次に、65歳以降の在職老齢年金制度について説明しましょう。

65歳以降の方々は、総報酬月額相当額と老齢厚生年金月額の合計が、47万円に達するまでは年金の全額が支給されます。

しかし、合計が47万円を超える場合は、47万円を超える額の半額が減額されます。

ちなみに、70歳以上の人は厚生年金保険の被保険者ではありませんが、厚生年金保険の適用事業所に勤務していれば、在職老齢年金制度の対象となってしまいますので、ご注意ください。

老齢厚生年金の繰上げと繰下げ支給

厚生年金の繰上げ受給

老齢厚生年金を繰り上げた場合、老齢基礎年金と同様、繰上げ月数ひと月につき0.5%年金額が減額されます。

老齢厚生年金の繰上げを行う場合、老齢基礎年金も同時に繰上げ請求をしなければなりません。

厚生年金の繰下げ受給

老齢厚生年金の繰り下げた場合、老齢基礎年金の繰下げと同様、繰下げ月数ひと月につき0.7%年金額が増額されます。

75歳まで繰下げた場合が最大となり、年金額が84%増加します。

しかし、年金額が増えても、税金と社会保険料の負担が増えるため、手取り額で見ると、それほど思うほど増えていませんので、注意しましょう。

なお、老齢厚生年金の繰下げを行う場合、繰上げとは異なり、老齢厚生年金を単独で請求することができます。

加給年金に注意

繰下げ受給で注意すべき点は、「加給年金」は老齢厚生年金と同時に繰り下げる必要があることです。

加給年金とは、年下の妻がいる夫が受け取る家族手当のようなもので、妻が65歳になるまで受け取ることができます。

金額は年間39万円なので、仮に妻が5歳下だと、5年間で約200万円の給付を受けることができます。

これを失ってしまうのはもったいないでしょう。

したがって、老齢厚生年金は繰下げせずに65歳から受給を開始すべきです。

繰下げ受給を希望するのであれば、老齢基礎年金だけを繰下げるべきでしょう。

加給年金については下記の記事で詳しく解説しています。

繰下げ受給の損益分岐点

年金を繰下げ受給すると、繰下げる期間に受給する年金はゼロ円となってしまいますが、受給が開始されますと、年金額が最大84%増額されます。

この点、75歳まで繰下げる場合に、本人が何歳まで生きると「おトク」になるのか、損益分岐点を計算しますと、87になります。

つまり、88歳まで長生きできる方であれば、繰下げ請求する意味があるということです。

まとめ

今回は、在職老齢年金と老齢厚生年金の繰上げ・繰下げについて学習しました。

繰上げ支給と繰下げ支給の計算が重要ですので、しっかりと理解しておきましょう。

以上

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