【FP3級対策】退職後の健康保険はどうなる?2つの制度を解説

会社を退職した後の公的健康保険は、どのようになっているのでしょうか。

今回は、任意継続被保険者制度と後期高齢者医療制度の2つについて、しっかりと学習しましょう。

目次

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退職後加入できる公的医療保険制度

会社員などが退職後に再就職しない場合、公的医療保険の扱いは、下記の3パターンの中から選択することになります。

  1. 退職前の健康保険の任意継続被保険者となる
  2. 家族の健康保険の被扶養者となる
  3. 国民健康保険の被保険者となる

まとめると、会社員として働く上での医療保険の全体像は下記のようになります。

就職~退職前退職後~75歳未満75歳~
健康保険制度

『健康保険組合』
または
『協会けんぽ』

4つのパターン

①国民健康保険
②任意継続被保険者(2年間まで)
③家族の被扶養者になる
④再就職して健康保険に加入

後期高齢者医療制度

パターン①国民健康保険の被保険者

退職をしてから再就職をしない場合、国民健康保険に加入しなければいけません。

国民健康保険に加入すると、会社員の健康保険のような「被扶養者」という制度はありませんから、扶養する家族も、自ら被保険者として国民健康保険に加入することになります。

国民健康保険は、原則として資格取得日、すなわち、退職日の翌日から14日以内に加入の手続きが必要です。

ただし、加入手続きを行っていなくても、退職日の翌日から国民健康保険に加入したものとみなされるため、保険料の支払い義務が生じますので注意しましょう。

国民健康保険まとめ

健康保険が適用されない期間がないよう、退職日の翌日から自動的に加入されます。

  • 扶養する家族も国民健康保険への加入が必要
  • 条件を満たせば任意継続との選択が可能(後述)

パターン②任意継続被保険者制度

退職前に継続して2か月以上健康保険の被保険者であった人は、健康保険の資格喪失日、すなわち、退職日の翌日から20日以内に申請すれば、最長2年間はこれまでの健康保険に継続して被保険者となることができます。

これを任意継続被保険者制度といいます。

ただし、所得保障としての傷病手当金や出産手当金を受けることはできなくなります。

また、保険料は会社負担分がなくなるため、全額自己負担になります。

保険料を算出する際の基礎となるのは、「本人の退職時の標準報酬月額」または「前年の被保険者全員の標準報酬月額の平均額」のいずれか低いほうです。

これに一般の保険料率を乗じて保険料額が算出されます。

したがって、資格喪失時に高額の給料を得ていた人は、任意継続被保険者になるほうが、国民健康保険の被保険者になるよりも、保険料負担が軽いことがあります。

任意継続まとめ

一定の条件を満たせば、退職後の2年間は退職前の健康保険に加入することができる。

  • 継続して2ヵ月以上、健康保険の被保険者だった人が対象
  • 退職後、20日以内の申請が必要
  • 傷病手当金や出産手当金はなくなる
  • 保険料は、会社負担がなくなってすべて自己負担額
  • 就業時の給料によっては国民健康保険のほうが負担が軽い場合もあり

パターン③健康保険の被扶養者

家族に健康保険の被保険者がいる場合には、その被扶養者として健康保険に加入することができます。

ただし、60歳以上の場合、年金などの退職後の年間収入が、180万円未満で、かつ被保険者の年収の50%未満であることが必要です。

家族の被扶養者となりますので、自分で支払う保険料はありません。

3種類の健康保険について条件まとめ

75歳未満における、退職後の公的医療保険の加入についてまとめました。

なお、75歳以上は後期高齢者医療保険が適用されます。

内容\種類国民健康保険任意継続健康保険の被扶養者
加入資格退職の翌日から
加入資格が発生
退職日まで2ヵ月以上
継続して健康保険に
加入していた人
日本国内に住所があり、
年令によって下記の
年収未満の人
年収の条件なしなし60歳以上……180万円
60歳未満……130万円
加入期間なし2年なし
保険料前年の所得などによる前年の所得などによる
全額自己負担
不要
医療費負担原則3割原則3割原則3割
加入の
提出期限
退職日の翌日から
14日以内
退職日の翌日から
20日以内
速やかに

医療費の負担割合について

70~74歳の人は2割負担となります。

ただし、現役並み所得者は3割負担となります。

また、義務教育就学前の児童については、2割負担となります。

後期高齢者医療制度

後期高齢者医療制度は、後期高齢者医療広域連合によって運営されており、都道府県ごとに設置され、市区町村が窓口となっています。

「長寿医療制度」という通称で呼ばれることもあります。

後期高齢者医療制度の被保険者

後期高齢者医療制度の被保険者は、75歳以上の者、または65歳以上75歳未満の者であって一定の障害の状態にあると認定を受けた者です。

後期高齢者医療制度に加入すると、それまで加入していた健康保険、国民健康保険等は、自動的に脱退することになります。

後期高齢者医療制度には、被扶養者という制度はありません。

健康保険の被保険者が後期高齢者医療制度に加入した場合、その被扶養者となっていた家族は資格を失い、自分で国民健康保険に加入することになります。

逆に、健康保険の被扶養者で保険料の負担がなかった家族が75歳になった場合、75歳以降は自ら後期高齢者医療制度して保険料を負担しなければいけません。

後期高齢者医療制度の自己負担と徴収

自己負担割合は原則として医療費総額の1割です。

ただし、現役並み所得者は3割となります。

保険料の徴収方法には特別徴収と普通徴収の2種類があります。

原則は特別徴収で、公的年金から保険料が天引きされます。

ただし、年金額が年額18万円未満の人は普通徴収となり、保険料は、口座振替などによって、個別に市区町村へ納入することになっています。

まとめ

今回は、会社を退職した後の公的健康保険制度について学習しました。

任意継続被保険者制度を活用すること、75歳になると加入する後期高齢者医療制度はとても重要な制度です。ここでしっかりと理解しておきましょう。

以上

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